展覧会レポート
2020.9.8
TOPが注目する5作家を紹介
作家たちが見つめる「あしたのひかり」とは
東京都写真美術館にて「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」が開催中です。
岩根 愛〈あたらしい川〉展示風景
「日本の新進作家」は、東京都写真美術館が将来性のある作家を発掘・紹介する場として2002年より開催されています。
菱田雄介〈border〉展示風景
第17回目の本展は、「あしたのひかり」がテーマ。日常の中に常にある「光」は、写真や映像を構成する重要な要素であり、時には希望の象徴として捉えられることもあります。5作家たちが考える「光」とは? じっくり見て、感じ取ってみましょう。
無名の少女たちを被写体とした作品
原久路&林ナツミは写真ユニットです。現在は大分県別府市を拠点に活動し、コラボレーション作品を制作しています。
原久路&林ナツミ〈世界を見つめる〉展示風景
彼らが2015年から、SNSを中心に発表してきた〈世界を見つめる〉。
こちらのシリーズは、子供から大人へと成長する過程にある無名の少女たちを被写体としたポートレイトと地元・別府の都市風景からなる作品です。
彼女らの自由な行動や発想から生まれる構図がとても興味深いですよ!
被写体の少女たちと共同で作品を制作するメイキング映像もあわせて展示されています。
現実とファンタジーが混交する「氷の国」
赤鹿 麻耶(あかしか まや)は、夢について語られた言葉、写真、絵や音など多様なイメージを用い、現実とファンタジーが入り混じった独自の物語世界を紡ぐ作家です。
赤鹿 麻耶〈氷の国をつくる〉展示風景
本展では「氷の国をつくる」をテーマとした新作シリーズを初公開します。
舞台は真冬の中国・ハルビン。冬の間だけ開催される実在する氷のテーマパーク「氷雪大世界」を旅の目的地として、1か月間その建設から完成までを見続けた作品です。
子供の時のときめきや、時空を超えた感覚を追い求める旅を描いた独特の世界観に注目です。
幻想的で私的なドキュメンタリー作品
岩根 愛は、2006年以降、ハワイにおける日系文化に注目。現在は、移民を通じたハワイと福島の関わりなどをテーマに制作を続ける作家です。
岩根 愛〈あたらしい川〉展示風景
本展では、代表作〈KIPUKA〉に加えて、初公開の新作シリーズ〈あたらしい川〉を展示。
〈あたらしい川〉は、2020年春、岩根が東北各地で撮影した桜の風景と、これまでにハワイや東北で撮影された映像でつづる、インスタレーション作品です。
さらに「川」と重ねて、過去、現在、未来へと続く時の流れを見出そうとしています。
東京都写真美術館が注目する作家の作品をあますことなく観賞できる本展。
日常が大きく変化した2020年、それぞれの作家たちの「あしたのひかり」を通して、今・未来を生きるアイデアが見つかるかもしれませんよ。
鈴木麻弓〈The Restoration Will〉展示風景
Information
展覧会名:あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17
会場:東京都写真美術館
会期:2020.07.28〜2020.09.22
公式サイト:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3815.html
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、入場制限などを実施します。 ご来館のお客様は、必ずこちらをご確認ください。
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
展示室に入ると、インスタレーション作品〈あたらしい川〉が飛び込んできます!圧巻!