展覧会レポート
2020.10.8
日本美術鑑賞の裏ワザ鑑賞法?
古美術について、わかりやすく解説した展覧会
サントリー美術館で、「リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏」が開催中です。
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 展示風景より
近年、わたしたち現代人の「生活」は、いすやテーブルなど西洋風のものが多くなり、古来からの日本の生活と比べて大きく変化してきました。
古文も外国語のように感じる現代で、古美術品など日本人がかつて愛した「美」を、“どのように鑑賞したらいいか?”と、考える方も多いのではないでしょうか。
本展は、そのような悩みを解消するべく、サントリー美術館の学芸員たちが「生活の中の美」の“愉しみ方”に焦点をあて、同館の個性ゆたかな収蔵品の中から、日本ならではの美意識に根差した作品を紹介する展覧会です。
清涼感ある、円山応挙が描いた作品
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 展示風景より
青楓瀑布図 円山応挙 一幅 江戸時代 天明7年(1787) サントリー美術館【全期間展示】
展覧会のトップバッターを飾る作品は、円山応挙の「青楓瀑布図(せいふうばくふず)」です。
本展のメインビジュアルにも使用されています。
近づいてよーく観てみると、下に描かれた黒い岩に波があたり、水しぶきが飛んでいるようすが描かれているなど、まるで滝のそばに立っているような臨場感があります。
ゆるっとカワイイ!「かるかや」ってなんだろう?
日本美術好きにファンが多い「かるかや」は、近年、素朴絵の代表作として、さまざまな展覧会で引っ張りだこの人気作です。
おびかけ編集部も大好きな「かるかや」。どんな作品なのか、皆さんにお伝えします!
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 展示風景より
かるかや 室町時代 16世紀 サントリー美術館【全期間展示】
本作は、説教節(*)「かるかや」のテキストに、絵を加えて作られた上下2冊の絵本です。
絵画化された説教としては、現存最古のものと推定されています。
*説教節(せっきょうぶし):中世末から近世にかけて行われた語り物芸能の一つ。仏教の説経を庶民でもわかりやすいように、節をつけて音楽的に語られるようになったものです。
「かるかや」が同館で展示されるのは、2012年の展覧会以来の公開とのこと。当時は、まだ修復前だったため、展示は見開き2ページのみでした。
本展では、修復を終えて折り本を伸ばした、上下冊ともに約6.5mの場面が展示されています!
担当学芸員も思わず大興奮? 作品の多彩な表情にも注目!
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 展示風景より
壺 銘 野分 信楽 一口 室町時代 15世紀 サントリー美術館【全期間展示】
信楽焼の「壷 銘野分(つぼ めいのわき)」は、これまであまり展覧会で活躍するチャンスのなかった作品で、同館の学芸員のあいだでも、知る人ぞ知る作品だそうです。
本展への出品のため、作品を改めてじっくり見返したところ、次々とあらわれる多彩な表情に、3人の担当学芸員全員が声を出して大興奮したんだとか!
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 展示風景より
担当学芸員の感動を追体験できるよう、展示では作品を360度どの角度からでも見られるよう、工夫されています。
小中学生向け「わくわくシート」
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏 わくわくシート 各種
「わくわくシート」は、シートに書いてあるミッションをクリアしながら、鑑賞が楽しめるツールです。
親子で鑑賞する際は、ぜひこちらも活用してみてください!
なお、シートに書きこむ場合は、えんぴつを使用し、壁や展示ケースにおいて書かないように、ご注意ください(バインダーなど用意すると◎)。
本展の展示品は、写真撮影OKです!
ハッシュタグ「#日本美術の裏の裏」をつけて、SNS上にアップしてみてはいかがでしょうか?
information
リニューアル・オープン記念展 Ⅱ 日本美術の裏の裏
美術館名:サントリー美術館
会期:2020.09.30〜11.29(会期中、展示替えあり)
開館時間:10:00~18:00
※金・土および11月2日(月)、22日(日)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(ただし11月3日、24日は18:00まで開館)
※休館日はshop×cafeも休業
料金:一般1,500円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/12171/
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/
※感染症対策が実施されています。来館前に必ず美術館公式サイトをご確認ください。
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Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】
鑑賞が難しい古美術を、ていねいに紹介している本展。ぜひ、親子で楽しんでほしいと思いました!