展覧会レポート
2020.11.5
油彩画に彫刻、風刺画まで!?
「知らなかった」レオ・レオーニの姿
板橋区立美術館にて「だれも知らないレオ・レオーニ展」が開催中です。
展示風景より『マシューのゆめ』1991年
レオ・レオーニは、小さな黒いさかなの『スイミー』や、詩人のねずみ『フレデリック』など、世界中で愛される絵本を数多く生み出した絵本作家です。
実は絵本作家だけでなく、デザイナー、アートディレクターなど、さまざまな顔を持つレオーニ。
本展では、これまで公開されてこなかった作品とともに、「だれも知らない」レオーニの深く、魅力的な世界を紹介します。
グラフィックデザインとイラストレーション
レオーニは、幼少から芸術に恵まれた環境で育ち、10〜20代前半は抽象画に打ち込みましたが、結婚ののち、24歳のときにミラノでグラフィックデザイナーとしてのキャリアをスタートします。
ユニークでモダンなデザイン。彼の仕事はとても順調でしたが、人種差別法により1939年、アメリカへ亡命することになります。
展示風景
レオはアメリカの広告業界でもその才能を発揮し、アメリカの広告デザインの形成に大きく貢献します。
本章では、ミラノ時代、アメリカ時代の作品とともに彼の創作の原点を振り返ります。
先進的なデザインとユニークで愛らしいイラストに注目ですよ。
社会風刺画
本展では、レオーニが残した社会批判を思わせる9点の風刺画も観ることができます。
レオ・レオーニ《棺》1945年頃
アムステルダムのユダヤ系の家庭に生まれたレオ。
本作《棺》は、チャールズ・E・ビドーの自殺記事をコラージュしたもので、ビドーはナチの協力者であると言われていました。
ビドーを上から見下ろす天使は、ヒトラーのように描かれています。
絵画と彫刻
物心ついた頃から絵を描くことを好んだレオは、グラフィックデザイナーとして働きながらも、自らのアートをさまざまな方法で模索しました。
叔父たちのアートコレクションや尊敬する友人の存在なども彼に大きな影響を与えています。
展示風景
彼の絵画や彫刻作品からは、自身の人生に起こった出来事や、その時々の思想や感情の影響がより強く感じられます。
初期のタブロー*から晩年までに描かれた作品群を紹介するとともに、制作背景にあるレオの人生と思想を追いかけてみましょう。
*タブロー・・キャンバス画や板絵のこと。
絵本
本章では『スイミー』や『フレデリック』といった人気作はもちろん、数々の絵本から彼の考え、創作に対する情熱を紐解いていきます。
展示風景
レオーニはデザイナーやディレクターとして活躍するなど、はじめから絵本作家だったわけではありませんでした。
しかし、「絵本」というジャンルをとても重要に考えていたようです。
アートディレクター時代に出会ったエリック・カールに、絵本の制作を強くすすめたのがレオーニだったことからも伝わります。
平和への思い
レオにとって「平和」は最も大きなテーマでした。
対立することなく話し合って、尊重し合うこと。人と人とのコミュニケーションをとても大切に考えていたレオは、そんな思いを、絵本の中に数多く残しています。
展示風景より、『6わのからす』
『6わのからす』では、話し合いにより互いへの理解が深まる様子を描いています。
新型コロナウイルスで直接的なコミュニケーションが取りにくくなった今、今までとは全く違うコミュニケーションが生まれつつあります。
今もしレオが描くとしたら、それはどんな絵本なのでしょうか。
会場にはお楽しみも♪
会場のいたるところで、絵本に登場するかわいらしいキャラクターを見つけることができます!
スイミーは全部で10匹いるそうです♪展示と合わせてぜひこちらも楽しんでくださいね。
レオ・レオーニの新たな一面を紹介する本展。
子どもの頃によく読んだ絵本とは異なる角度から、レオーニの新たな一面を好きになれそうです♪
Information
だれも知らないレオ・レオーニ展
会場:板橋区立美術館
会期:2020.10.24〜2021.01.11
公式サイト:https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/
※入場にあたっては、オンラインでの日時予約が必要です。予約が定員に達していない場合は予約なしでも入場可能です。
※予約はコチラ:https://www.e-tix.jp/itabashi-art-museum/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は11月29日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
スイミー好きだったな~♪