展覧会レポート
2020.12.2
「四季」と「風景」の東山魁夷
近代・現代画家の名品も展示!
山種美術館にて、【特別展】 東山魁夷と四季の日本画 が開催中です。
展示風景
昭和の国民的画家・東山魁夷(ひがしやま かいい)。日本や世界各地の風景を豊かな表現力で描き、人気を博しました。
本展では、魁夷が新たな風景画を求めた北欧滞在を経て、日本の伝統美への回帰にいたる時期に焦点をあて、当時を代表する珠玉の優品を紹介します。
また、近代・現代の日本画家たちの作品もあわせて展示。日本の四季をとらえた名品をたっぷり鑑賞できる展覧会です!
画家がとらえた四季折々の作品
展示室に入ると、画家たちがそれぞれの視点でとらえた四季の作品を観ることができます。
日本美術において「四季」はとても重要なテーマのひとつで、古来より繰り返し描かれてきました。
左:東山魁夷《年暮る》1968(昭和43)年 紙本・彩色
右:東山魁夷《秋彩》1986(昭和61)年 紙本・彩色
「京洛四季」は、作家・川端康成の「京のすがた とは(永遠)にとどめん」という言葉をきっかけに描かれました。季節ごとにみられる京都の姿を情緒豊かに描いた連作です。
本作は、約4年ぶりに一堂に展示されます。展示室でぜひ4作品を見比べてみてくださいね。
皇居新宮殿ゆかりの絵画
1968年、皇居に新たな宮殿が造営されるにあたり、魁夷に宮内庁から障壁画の作成が依頼されました。
そうして制作されたのが《朝明けの潮》です。この作品を目にした初代館長・種二は、誰もが楽しめるようにと、おなじ趣向の作品を依頼し、横幅9mの大作《満ち来る潮》が制作されたのです。
東山魁夷《満ち来る潮》1970(昭和45)年 紙本・彩色
新宮殿の壁画がゆったりした波の動きを表現しているのに対し、満ちてくる潮が、岩にたたきつけられるダイナミックな構図をとっています。タイトルは万葉集『満ち来る潮』からつけられたそう。
展示室内にはほかにも、宮殿内の作品を手掛けた画家たちに種二が依頼した作品が並びます。ぜひ注目してみてくださいね。
風景画で味わう春夏秋冬
東山魁夷と重なる時代を過ごした画家たちの風景画も、四季に分けて紹介されています。
画家が自然と向き合いながら、それぞれの画風や完成によって表現した春夏秋冬の表情に注目です。
奥田元宋《玄溟》1974(昭和49)年 紙本・彩色
「玄溟(げんめい)」は、奥深くかすかなようすや、水の神を意味する言葉です。
濃い雨霧に包まれた岩手県陸中海岸を取材した本作は、紅葉のすきまから、太陽が姿を出した瞬間をとらえています。
元宋は自然との貴重な一瞬の出会いを、好んで題材にしました。また、本作のような強烈な赤の色彩は、のちに「元宋の赤」と称されるようになりました。
展示風景より左、東山魁夷《白い壁》1952(昭和27)年 紙本・彩色
母親に背負われて行った蔵の前を描いた《白い壁》。その時の背中のぬくもりや、大地の温かさを感じた記憶をたどりながら描いた心象風景*です。
本作は魁夷が風景画家として活躍し始めたころに描かれたもので、観る人に心の安らぎを感じてほしいという願いが込められています。
心象風景・・・現実ではなく心の中に思い描いたり、浮かんだり、刻み込まれている風景。
鑑賞後はおなじみ和菓子を♪
ミュージアムカフェ「Cafe 椿」では、恒例の展覧会にちなんだ和菓子を楽しむことができます!
四季折々の作品を観たあとに、作品をイメージした和菓子をいただけるなんて、贅沢ですよね♪
おびかけ編集部も山種美術館の和菓子が大好物! ぜひ、美術鑑賞の余韻とともに素敵なカフェタイムを過ごしてみてくださいね。
日本人の四季への鋭い意識を、美しい日本画を通して感じることができる本展。
事前にオンラインチケットの予約や、混雑状況の確認もできるので、ご来館の前に公式サイトをご確認ください。
展示風景
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は12月20日23:59まで!
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【特別展】 東山魁夷と四季の日本画
2020.11.21~2021.01.24
開催終了
山種美術館
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
《年暮る》が年末に観れてうれしい・・・!