晶子と寛の弟子・宮元尚(熊本県球磨郡多良木町)が所蔵していた『冬柏』の原本(一部)
晶子・正宗貼交屏風(個人蔵)
与謝野寛と晶子 自宅にて 昭和8年(1933)
鞍馬寺蔵
『冬柏』第3巻第10号(昭和7年(1932)9月)
裏表紙 人吉の球磨川を下る晶子
2020年は、与謝野晶子と寛が中心となって刊行した雑誌『明星』創刊120年になります。また雑誌『冬柏(とうはく)』創刊90年の年でもあります。『冬柏』は、椿の「語原の字」で「トウハク」と読みます。昭和期における『明星』とも言われ、晶子と寛を中心とした新詩社同人の発表の場として、昭和5年(1930)に創刊されました。そして、二人の没後も弟子たちに引き継がれ昭和27年(1952)まで刊行されました。
『冬柏』が刊行された昭和初期、すでに新詩社は歌壇の中心ではありませんでした。また、『明星』に比べて『冬柏』には装幀の華やかさや著名な執筆者が少ないことから、近代短歌史でもほとんど評価されませんでした。しかし、そこには、晩年の晶子の動向や作品を詳細に辿ることができるとともに、太平洋戦争に向かう戦時体制の中で、個性と自由の精神を貫き続けた『明星』以来の理想の世界がありました。近年、『冬柏』の価値が見直され復刻版の刊行によって研究の進展が期待されています。
本展では、晶子たちが最後まで自らの表現の場として守り続けた『冬柏』がどのような雑誌かを明らかにします。復刻版刊行の原本となった弟子の宮元尚(みやもとひさし、熊本県球磨郡多良木町)旧蔵の『冬柏』をはじめ、晶子が『冬柏』に発表した歌の自筆掛軸や原稿、同人たちの歌集や書簡などを展示し、『冬柏』の魅力を感じていただく機会となれば幸いです。
企画展『冬柏』
―『明星』の精神を貫いた理想郷―
2020.12.05~2021.01.31
開催終了
9:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
2020年12月15日、12月29日~2021年1月3日、1月19日
一般300円、高校生200円、小中学生100円
※「与謝野晶子記念館」「千利休茶の湯館」の観覧券で企画展もご覧いただけます。
さかい利晶の杜
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堺市