展覧会レポート
2021.2.10
創造力豊かな20世紀のポスターを知る
グラフィックデザインの流れをたどる展覧会
東京都庭園美術館にて「20世紀のポスター[図像と文字の風景]」が開催中です。
展示風景
私たちの生活の身近にある「ポスター」。素通りしたり、チラっと見るだけ、なんてことも多いかもしれません。
しかし時には、目を奪われ、興味を惹きつけられるようなポスターに出合うこともあります。
本展では、現代のビジュアルデザインに大きく影響を与えている、‟構成的ポスター”が約130点、ズラリと並びます。
ヨーロッパで生まれた構成主義の流れのもと、時代を彩った“構成的ポスター”が、20世紀を通じて織りなした図像と文字の風景を、竹尾ポスターコレクション(多摩美術大学寄託)により辿るものです。
図像と文字の幾何学
ポスターは、図と文字を使って、一種の「風景」を表現しています。
戦後、スイスのチューリッヒを拠点に活躍した「スイス派」と呼ばれるデザイナーたちは、幾何学的な画面構成のなかで、図像と文字を融和させ、‟構成的ポスター”を生み出しました。
展示風景
スイス派は、グラフィックデザインの歴史を語るうえで避けて通れない存在です。明快な色彩と形態を用いたデザイン理論で、その後の現代ビジュアルデザインの基盤を完成させました。
戦後のビジュアルコミュニケーションのあり方を導いたスイス派、同じ時期に活躍したウルム派のデザインの展開、そして現代のビジュアルデザイン文化の源流を探ります。
歴史的ダイナミズム
第2章では、戦前に登場したロシア構成主義*、バウハウスなどのポスターを展示。
構成的ポスターの要素を持つデザインは、現代社会においても大きな役割を果たしています。
*1910年代半ばにはじまった、ソ連における芸術運動
エル・リシツキー《ソヴィエト連邦展/チューリッヒ工芸美術館》 1929年
1920年代の最盛期から90年代のコンピュータグラフィックスにいたるまで、構成的ポスターはさまざまに形を変えながら発展しました。
‟ロシア構成主義”も、はじめは社会のための芸術運動でしたが、政治的な宣伝に利用されることもしばしばありました。
構成的ポスターが映し出したデザインの変遷、そして歴史の変遷を、さまざまな視点から、物語を読むように辿ります。
コミュニケーションのありか
最終章では、1970年代以降、インターナショナル・スタイル*を背景に登場した‟ニュー・ウェイヴ”、‟ポストモダンデザイン”と呼ばれる動きを辿ります。
構成的ポスターが用いたスタイル、発展のプロセスを通じて、「ポスターとは何か?」「いま私たちはポスターをどのように観るべきか?」の視点を提示し、デジタル化がますます進む現代、そして未来におけるポスターの存在意義を考えるヒントを与えてくれますよ。
*1920年代から50年代に登場した建築様式。均質的な空間で、世界共通様式を目指しました。
展示風景
展示される個々のポスターが示す鮮やかな創造力、そして現代へ受け継がれているスタイル、発展のプロセスに注目してみてください。
また、本展関連プログラムとして、ポスターづくりワークショップなどを予定しているそう。
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本展の招待券を4名様にプレゼント!
〆切は2021年2月28日23:59まで!
応募フォーム ※終了しました
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20世紀のポスター[図像と文字の風景]
―ビジュアルコミュニケーションは可能か?
2021.01.30~2021.04.11
開催終了
東京都庭園美術館(本館+新館)
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
ポスターばかりが並ぶ珍しい展覧会。異国情緒あふれる朝香宮邸と、合う~!!