展覧会レポート
2021.2.10
毎年恒例!恵比寿の映像の祭典
2021年は「映像の気持ちを楽しむ」
今年も恵比寿の地で、第13回恵比寿映像祭「映像の気持ち」(東京都写真美術館ほか)が開催中です。
赤松正行+ARARTプロジェクト 左:(赤松正行)《ウロボロスのトーチ》2012年
右:(北村穣)《モーメンツ・オブ・ブルーム》2012・2021年
第13回目となる2021年のテーマは「映像の気持ち」。今日私たちの身の回りにある映像は実に多様です。
それらの表現を成り立たせるまでにはさまざまな工夫の歴史がありました。本展では、映像表現を紹介しながら、動画表現の成り立ちをひもときます。
今年は28の国と地域から109組、125名の作家やゲストが参加!
すべてをお見せはできませんが、おびかけ編集部の注目アーティスト、作品をピックアップしてご紹介します♪
シシヤマザキの軽やかな実写映像
シシヤマザキは、自身をモチーフとした作品を制作する、世界的に活躍しているアーティストです。
シシヤマザキ 作品展示風景
彼女が用いているのは、20世紀初頭に発明されたロトスコープ*というアニメーション手法です。
作家自身が踊るようすがトレースされた動画は、水彩画のような質感を持っています。しかし、ただリアルな動きを写し取るだけではなく、筆づかいや色彩の変化によって、めまぐるしくそして軽やかな表現となっています。
また、同時に自ら選びとった手法によって、堂々と世界と対峙する女性像も提示しています。
*ロトスコープ・・・実写映像をもとにアニメーションを作成する技法。
スマホを通して見る‟アートプロジェクト”
2階の展示室に入ると、ひとりひとりに渡されるのが、スマホ。
こちらは、アーティスト集団・赤松正行+ARARTプロジェクトによる作品で、ARを体験することができます。
赤松正行+ARARTプロジェクト(向井丈視)《リトル・プリンス》2017年
絵画や絵本のモチーフにスマホをかざすと、画面のモチーフがいきいきと動き出します!
最近、私たちのあいだでも身近になっているAR(拡張現実=Augumented Reality)。歴史をさかのぼると、その概念は1901年に発表された長編小説『マスター・キー』にはじめて登場したのだそう。
映像の歴史をふまえたAR体験から、現実を「みること」を問い直します。
デジタルを通して新しい体験を提示 チョ・ヨンガク
チョ・ヨンガクは、ソウル在住のニューメディア・アーティストです。
最新のデジタルテクノロジー、A.I、データサイエンスなどを使用し、見逃されがちな社会的、技術的問題を探求した作品を送り出しています。
チョ・ヨンガク《道路は流星のように》2019年
《道路は流星のように》は、都市のポートレイトで、ディープラーニング*の手法を用いて制作されました。
チョは、世界各地の都市の風景を撮影し、またそれらの都市の人口などのデータを用いたイメージから、スタイルを作成。本作は、人間と機械が協働する風変わりな風景を見せています。
*ディープラーニング・・・コンピュータが自動的に大量のデータから、該当するデータの特徴を発見し、学習する技術のこと。
本映像祭は、今年も無料ですが、事前予約制(一部プログラムは有料)です。
恵比寿のまちをのんびり歩きながら、身近にある映像について考えてみませんか?
また、オンラインプログラムも多数用意されています(外部リンク)。
予習復習ももちろんですが、来場できなくても映像作品を楽しんだり、新しい作家に出会うきっかけになるかもしれません。お見逃しなく!
松本力 作品展示風景
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第13回恵比寿映像祭「映像の気持ち」
2021.02.05~2021.02.21
開催終了
東京都写真美術館/日仏会館
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
毎年恒例の映像祭。今年は新鮮な事前予約制!
ぜひ行かれてみてください。