根本は、彫刻を中心に、インスタレーション、ドローイング、パフォーマンス、絵本など様々な方法で表現しています。
近年の彫刻は、紙で型取りするなどセラミックの崩れ落ちるような物質感と奔放な造形、荒唐無稽なテーマが相まって笑いを誘うとともに異様な存在感を示しています。それらは見るものに強烈なインパクトを与えますが、その背後には現代社会におけるルールやシステム、合理性などに対して揶揄あるいは無化、逆行するような態度が貫かれています。
えば、《つくられた壺》2018 はコンペにて発表された作品で、順位づけを行わないオリンピックをテーマとした古代土器を模した壺のインスタレーションです。壺の表面には、円盤の代わりにステーキを用いた投擲、人間ではなく粘土の壁を殴るボクシンング、叫びながら水切りをするなどナンセンスなど競技が壺の表面に描かれ、その脚には白い台座ではなく、肉のプリント合板、拳の痕跡が貼り付けられたり、表彰台を模した自作の台座などが使用されています。また、《パーフェクトオフィス》2020 は、会場となった元オフィス空間から着想し、社会におけるフォーマット化の場としての「面接」がテーマになっていました。その「面接会場」には、明らかに場違いな2tの土で作られた巨大な「うんこおじさん」が面接を受けています。面接官やその脇でデスクに向かう労働者はセラミックのピースで組み上げられており、とってつけたような頭部や転写プリントされた顔面は、仮説的な役割が貼り付けられているようです。そこには生産性や合理性の観点ではありえないような労働環境を作り上げられました。根本は展覧会や彫刻の制度を社会システムにオーバーラップさせて考え、それらのカウンターのように根本自身の中に湧き上がる妄想やイメージを作品化します。それらは一見、意味不明で荒唐無稽でありながらも、現代において人間あるいは社会の成長や多様性について今一度考えを促すものと言えるかもしれません。
そして、根本は昨年ギリシャ・アテネへ留学のため半年間滞在していました。本展ではアテネ滞在時に考え、製作したものが中心に発表されます。中心になるのはセラミックを使用した高さ2.5m超えの棒人間の彫刻です。その他、セラミックの胸像、壺や自作のアイアンシェルフなどで構成したインスタレーションとペインティングなどを展示予定です。
Covid-19の蔓延のため、現地では外出や制作が制限される中で、アテネの文化や郷土などから何を得てきたのでしょうか、あるいは全くなにも(ナッシングアットオール)得なかったのでしょうか。
根本祐杜個展「ナッシングアットオール」
2021.02.20~2021.03.21
開催終了
2021年2月20、21、23、27、28日、3月6、7、13、14、20、21日
12:00〜19:00
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ご来場の際には、マスクのご着用、手指のアルコール消毒にご協力ください。
※新型コロナウイルスの諸症状がある方、体調の優れない方はご来場をお控えください。
無料
トークン アートセンター
〒131-0032
東京都墨田区東向島3-31-14
東武スカイツリーライン曳舟駅より徒歩10分
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