展覧会レポート ニュース
2021.3.5
狩野派と土佐派の作品を中心に紹介!
幕府や宮廷の絵師たちについて深く知れる展覧会
根津美術館にて「企画展 狩野派と土佐派 ―幕府・宮廷の絵師たち―」が開催中です。
狩野派は、約400年にわたって画壇に君臨した日本最大の画派です。流派の祖である狩野正信(1434?-1530)は、室町時代の漢画(*)の絵師として活躍し、8代将軍・足利義政に仕えて流派の礎を築きました。
*漢画:おもに中国の宋(そう)、元(げん)、明(みん)、清(しん)の絵画に倣って制作された日本絵画のこと。
一方、伝統的な絵画様式である「やまと絵」の流派である土佐派は、狩野正信と同年代に登場した土佐光信(1434?-1525)の活躍により栄えました。
本展は、同館が所蔵する狩野派と土佐派の作品を中心に、室町時代から江戸時代に幕府や宮廷の御用を務めた絵師たちの作品を紹介する展覧会です。
狩野派が画壇に君臨するきっかけになった作品
四季花鳥図屏風 伝 狩野元信筆 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵
本作は、狩野元信が描いたと伝わる屛風です。
画面全体にさまざまな花や鳥を配置する画面構成と、柔らかな筆づかいは時の権力者に受け入れられ、狩野派が画壇に君臨するきっかけをもたらした作品です。
リンゴをかじるねずみが描かれた愛らしい作品も!
林檎鼠図 「元信」印 日本・桃山時代 16~17世紀 根津美術館蔵
木の枝にクローズアップし、小鳥などを描く折枝画(せっしが)は、中国伝統の画題だそう!
本作も、明時代の中国画を写したものと見られています。初期の狩野派による中国画学習について知るための、重要な作品であると言われています。
鮮やかな色彩が特徴的なやまと絵
蛙草紙絵巻 伝 土佐光信筆 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵
土佐光信は、半世紀にわたり宮廷絵所預(えどころあずかり*)に在任し、やまと絵絵師の頂点に君臨した人物です。
*絵所預:宮廷の屏風や障子などの絵画制作を担う公的機関「絵所」をとりまとめる最高責任者のこと。
本作は、嘘つきの男が金持ちの婿へと出世するお伽草子の絵巻です。お伽草子としてはサイズが大きく、有権者による発注に応じて作成されたと考えられています。
江戸時代の豪華な屛風や、色鮮やかなやまと絵など、御用絵師たちの多様な絵画世界を楽しめる本展。
本展は、日時指定予約制となっています。来館の際は、美術館公式サイトより事前に予約をお願いいたします。
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企画展「狩野派と土佐派―幕府・宮廷の絵師たち―」
2021.02.25~2021.03.31
開催終了
根津美術館
※新型コロナウイルス感染拡大防止策の一つとして、すべての入館者を対象とするオンラインによる日時指定予約制が導入されています。日時予約については、美術館公式サイトをご確認ください。
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】
狩野派と土佐派の作品が一度に楽しめるため、見どころ満載の展覧会でした!