展覧会レポート

コシノヒロコ展
-HIROKO KOSHINO EX・VISION TO THE FUTURE 未来へ-

2021.5.12

国際的ファッションデザイナー・コシノヒロコの全貌に迫る!

アートとファッションが融合した、エネルギッシュな展覧会

 

 

兵庫県立美術館にて「コシノヒロコ展 -HIROKO KOSHINO EX・VISION TO THE FUTURE 未来へ-」が開催中です。

 


ワクワク ドキドキ 展示風景

 

コシノヒロコは、1937年、大阪府岸和田市に生まれたデザイナーです。パリや上海など、世界各国でショーを開催。ファッションブランド「HIROKO KOSHINO」では、45年にわたって、毎年2回新作を発表してきました。

 

本展では、歴代コレクションから選りすぐった約250点の洋服や、デザインの源である約200点の絵画を、14のセクションに分けて展示。

各セクションのタイトルには、「ペチャクチャ」や「ルンルン」などのオノマトペが使われており、それぞれの作品が可愛らしく紹介されています。

 

60年にわたる創作活動の中で、約2,000点の作品を生み出してきたコシノの全貌に迫る、大規模展覧会です。

 

 

安藤建築の中で生まれた数々の作品たち

 

1981年、兵庫県芦屋市に安藤忠雄が設計した自宅を建てたコシノは、30年以上にわたって安藤建築の中で創作活動に打ち込みました。

安藤忠雄は、本展の会場「兵庫県立美術館」を含む、さまざまな建築を設計した建築家です。

 

「大きな展覧会をやるなら、絶対に安藤さんの建築の中でやりたい。それが、長年の夢でした」とコシノは語ります。

 


ペチャクチャ 展示風景

 

「ペチャクチャ」では代表作20点を、兵庫県立美術館のシンボルであり、安藤建築ならではの大階段に展示。それぞれ異なる存在感を放つ20体のマネキンに、ぜひ注目してみてください。

 

 

ファッションとアートの垣根を超えた展覧会

 

「これだけの規模で、アートとファッションを一体化した展覧会が実現するのは、おそらく世界初」と誇るコシノ。

中高生時代、画家を目指していた彼女にとって、アートはファッションの源だそうです。

 


ルン ルン 展示風景

 

「ルン ルン」では、ポップな色彩の絵画と、関連する洋服を合わせて紹介されています。

展示室全体が生み出す楽しい空気を、ぜひ感じ取ってみてください。

 

 


ビュー 展示風景

 

「ビュー」では、墨絵をモチーフとしたファッションやアートを紹介。絵画や屏風、ドレスなど、バリエーション豊かな墨絵作品をご覧いただけます。

 

一筆が見せるさまざまな表情に、引き込まれること間違いなし!

中でも、和紙のような質感の生地に墨絵を描いたドレスに、目を奪われました。

 


ビュー 展示風景

 

また、本展はコシノがすべて展示を監修しました。

多数の作品の中から展示作品をさっと選び、即座に配置を決めていくコシノに、担当学芸員は驚いたそうです。

 

 

展示室全体がアートに!

 

 


クルリンパッ 展示風景

 

「クルリンパッ」では、コシノがデザインを手がけた、体操競技日本代表選手のユニフォームが展示されています。

 

展示室内にはユニフォームのモチーフとなった、歌舞伎の隅取りや市松などの紋様を大胆に配置。ダイナミックな展示空間に圧倒されました!

 

 


ビヨーン ギュッ 展示風景

 

「ビヨーン ギュッ」では、コシノの絵画を布地に落とし込みデザインした洋服を、マネキンに着せて紹介。

マネキンの背後には、同じ絵画のモチーフを大きく引き伸ばしたタペストリーが垂れ下がります。

 

 

最大の見どころ! 106点のコレクション作品が並ぶ圧巻の光景

 


ワクワク ドキドキ 展示風景

 

本展最大の見どころである「ワクワク ドキドキ」では、106点のコレクション作品が展示されています。

 

多種多様な洋服に身を包んだマネキンがずらりと並ぶ光景は、壮観!

素材の質感や組み合わせ、絶妙な染色、繊細な刺しゅうなど一点一点から作り手の情熱が伝わってきます。

 


ワクワク ドキドキ 展示風景

 

マネキン同士の間は通路になっていますので、あらゆる角度から洋服を鑑賞するのもおすすめです。

 

 

「日本に元気を取り戻したい」コシノヒロコの展覧会への想い

 

 


コシノヒロコさん

 

本展の企画が始まった5年前は、新型コロナウイルスの流行など予想もしなかったという、コシノヒロコ。コロナ禍を経験し、本展への想いに変化が現れたそうです。

 

「世の中の方々が精神的なダメージを受けている中で『日本に元気を取り戻したい』という気持ちが展覧会の中に込もるようになりました」と、コシノヒロコは強調しました。

 

 


フワ フワ 展示風景

 

「次への新しい希望をつなぎたい」という、コシノヒロコの想いが詰まった本展。閉塞感を感じる今だからこそ、ファッションとアートが秘める、底知れぬパワーをもらえるはずです。

 

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展覧会名

コシノヒロコ展
-HIROKO KOSHINO EX・VISION TO THE FUTURE 未来へ-

会期

2021.04.08~2021.06.20 開催終了

会場

兵庫県立美術館

※新型コロナウイルス感染症対策が実施されています。詳しくは美術館公式サイトをご確認ください。

※本展は日時指定による予約優先制です。詳しいチケット情報は展覧会公式サイトをご確認ください。

※諸事情により会期や開館時間が変更になる場合があります。最新情報は展覧会公式サイトをご確認ください。

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Editor  静居 絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

 

Writer  美間実沙

大阪在住のフリーランスライター。ライフスタイル/インテリア/アートなどの分野を中心に、様々なメディアで執筆しています。趣味はレザークラフト 、京都観光、温泉めぐり。
Twitter https://twitter.com/misa_writer

【編集後記】

1つ1つの作品にキャプションがない点も、本展の特徴です。目前のファッションやアート、そして展示室全体に没頭してみてはいかがでしょうか。

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