展覧会レポート

江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史

2021.6.16

首都・東京の歴史を地図を通して紹介!

東洋文庫で、歴史旅行を楽しんでみては?

 

東洋文庫ミュージアムにて、「江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史」が開催中です。

 


江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史 展示風景

 

東洋文庫では、同館が所蔵する西洋の古地図の展覧会(2015)や、日本地図を軸とした展覧会(2018)を開催してきました。

 

第3弾となる本展では、現在の東京にあたる地域を描いた古地図や、当時のガイドブックなどの関連資料を展示!

古代から中世、近代までの幅広い時間軸で、各時代の地図の特徴や「首都・東京」の歴史を振り返る展覧会です。

 

 

古代・中世の「江戸」「東京」の歴史とは?

 

(左)御江戸図説集 橋本貞秀 図/山崎久作 編 嘉永6(1853)年刊行
(右)続日本記 藤原継縄ら編 延歴16(797)年成立 明暦3(1657)年刊行

 

続日本記(しょくにほんぎ)』は、697年から桓武(かんむ)天皇の791年までの歴史を記した国の歴史書です。

 

『続日本記』によると7世紀末頃から、現在の東京、埼玉、神奈川東北部にあたる地域は「武蔵国」と呼ばれていました。

その国府(役所)は、現在の東京都府中市にあったといいます。府中市には今でも、国府に関係する遺跡などがのこっています。

 

 

江戸最大の火災「明暦の大火」って?

 

江戸の都市の基盤が出来上がったのは、寛永年間(1624-1644)でした。

しかし、1657(明暦3)年に起きた「明暦の大火(振袖火事)」により、江戸の都市は約6割焼失してしまいました。

 

明暦の大火とは、本郷・小石川・麹町の3か所から連続的に出火した大火災です。10万人以上の死者を出した江戸時代最大の火災といわれています。

 

江戸名所記 浅井了意 1662(寛文24)年 京都刊

 

『江戸名所記』は、明暦の大火から5年後の京都で刊行された、江戸のガイドブックです。江戸の絵入りの名所案内としては最初の本だといいます。

 

2人の男性が江戸を見て回るというストーリーで、挿絵を多く入れ、各説明の最後は狂歌(*)で結ばれています。

 

本作で取り上げられている81の名所のうち、日本橋や墨田川などを以外は、神社仏閣が紹介されています。

 

*狂歌(きょうか):江戸時代に流行した、ユーモラスな短歌のこと。

 

 

外国人観光客のために作られた地図も!

 

東洋文庫では、明治以降の東京の地図はそれほど多く所蔵されていなそうです。

しかし、今回の展示準備にあたり、英語で書かれた一枚地図や、外国人向けガイドブックに付いていた東京地図が見つかりました!

 

(左)New Map of Tokio 吉田晋 1882(明治15)年初版、1888(明治21)年再版
(左)New Century Map of Tokyo 1889(明治22)年発行、1901(明治34)年再版 丸善株式会社

 

写真右の《New Century Map of Tokyo》は、「外国人観光客ため」につくられたと明記されています。

 

国内外の観光客に人気のスポット栃木県日光市へ向かうJR日光線は、1980年に開業しました。

この鉄道が開通したことにより、当時の外国人向けガイドブックでは必ず「日光」が紹介されるようになりました!

 

これらの鉄道事情が書きこまれていることから、本図は1901年の再版時に大幅に加筆されたものだと考えられています。

 

 

「江戸」と「東京」に関する古地図や、ガイドブックを観ることができる本展。

展示室最後で紹介されている「江戸切絵図」で、見慣れた町並みの今と昔のようすを見比べて、歴史旅行を楽しんでみては?

 

 

江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史 展示風景

 

 

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展覧会名

江戸から東京へ -地図にみる都市の歴史

会期

2021.06.02~2021.09.26 開催終了

会場

東洋文庫ミュージアム

※新型コロナウイルス感染症対策が実施されています。ご来館前は、公式サイトの「ご来館予定のお客様へ」をご確認ください。

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Editor  静居 絵里菜

【編集後記】

各時代の古地図やガイドブックを見ながら、昔に思いを馳せてみるのも楽しいと思いました♪

お持ちの方は、単眼鏡を持っていくとより楽しめますよ!

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