展覧会レポート
2021.7.9
ジェンダーレスな人物画で人気を博した高畠華宵を紹介!
弥生美術館の創立に関する貴重な資料も展示します
弥生美術館にて「大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター 高畠華宵展 ―ジェンダーレスな まなざし―」が開催中です。
展示風景より
高畠華宵(たかばたけ かしょう)は、大正末から昭和初期の雑誌界で活躍したイラストレーターです。
本展では、弥生美術館が所蔵する原画や、全国の華宵のファンから寄贈された資料など、約300点を展示。
あわせて、同館を創立した弁護士・鹿野琢見(かの たくみ)との出会いと交流を語る貴重な資料も公開します!
華宵が描いた「ボーダーレス」な作品世界
華宵が大正・昭和初期の出版美術界で活躍した背景には、彼が「男性+女性」としての心と眼を持つ人物だったからと言われています。
当時の学校教育は、男子は男子校、女子は女子校と男女別学が基本でした。やがて思春期になると、他者へのあこがれが芽生えます。しかし、長い時間を同性同士で過ごしていたため、あこがれの視線は異性ではなく“同性”に向けられたそうです。
(左から)オールの響 高畠華宵/画 『日本少年』昭和5年7月号表紙 印刷/題不明 高畠華宵/画 『日本少年』昭和4年8月号表紙 印刷
当時、最大の娯楽であった少年少女雑誌の内容も、こうした状況に沿って少年雑誌には少年だけの、少女雑誌には少女だけの”あこがれの姿”が描かれました。
しかし華宵の絵は、こうした”すてきな同性へのあこがれ”だけではなく、「少年の中に少女」、また「少女の中に少年」と、異性を感じさせるものでした。
そのため少年少女たちは、はっきりと意識しないまでも、華宵の絵に異性に対するあこがれを持っていたそうです!
展示風景より
現代でも少年マンガと少女マンガは、別のジャンルとして扱われ、漫画家たちはそれぞれの分野で活躍しています。しかし、華宵は少年雑誌でも少女雑誌でも同時に活躍していました!
自分の価値観と美意識を信じ、ありのままの自分を大切にして生きた彼だからこそ、ボーダーレスな作品世界を描けたのでしょう。
高畠華宵と弥生美術館の関係とは?
弥生美術館は、昭和59(1984)年に、弁護士・鹿野琢見によって創設されました。
鹿野は少年時代、華宵が描いた1枚の絵「さらば故郷!」とであい、彼のファンとなりました。
(左から)さらば故郷! 高畠華宵/画 『日本少年』昭和4年3月号口絵/新さらば故郷! 高畠華宵/画 昭和40年
昭和40年春、ある雑誌の記事で、華宵が兵庫県明石市の老人ホームにいることを知り、幼い日の感動を手紙にして送りました。これをきっかけに、鹿野と華宵の親交が始まりました。
華宵の最晩年に親しく接し、その最期を看取るという縁を結んだ鹿野。その後、華宵の作品と著作権を譲り受け、展覧会の開催や画集の出版など、彼の再評価に尽力しました。
本展では貴重な資料をもとに、2人の交流についても紹介します。
華宵愛用の筆記用具
華宵展の展示会場は、撮影フリーです!(自撮り棒、三脚、動画は不可)
SNSでハッシュタグ「#高畠華宵展」をつけて、シェアしてみてはいかがでしょうか?
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は2021年7月23日23:59まで!
※入館にはオンラインによる事前予約(日時指定)が必要です。詳しくは美術館公式サイトをご確認ください。
★その他の展覧会レポートはコチラ
大正ロマン・昭和モダンのイラストレーター
高畠華宵展
―ジェンダーレスな まなざし―
2021.07.03~2021.09.26
開催終了
弥生美術館
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】
展示室いっぱいに展示された華宵の作品に圧倒されました! 写真も自由に撮れるので、ぜひSNSでお友だちに本展を紹介してみてはいかがでしょうか♪