Be-dan
2021.10.4
今月のBe-danは、黄金町エリアマネジメントセンターで広報を担当する神田美樹さんにインタビュー!
左:黄金町バザール2021出展作家・志村茉那美さん 右:神田美樹さん ※撮影時のみ、マスクを外していただきました。
神田さんは、横浜市中区黄金町にある「黄金町エリアマネジメントセンター」で、地域内外の方に向けて「アートによるまちづくり」の取り組みを発信しています。
第1回目では、黄金町エリアマネジメントセンターの現在の活動と、「黄金町」の街の歴史についてお聞きしました!
―黄金町エリアマネジメントセンターとは具体的にどのようなところなのでしょうか。
横浜・黄金町エリアにおいて、地域住民とアーティストが協力し、安全・安心で創造的な特色のあるまちづくりを目指して活動するNPO法人です。
具体的には、アーティスト・イン・レジデンス(*)、国際交流、黄金町バザール等のアートイベント、アーティストによるワークショップの開催、空き店舗の活用やパブリックアート(*)による街並みの再構成などの取り組みを行っています。
*アーティスト・イン・レジデンス:アーティストがある土地に長期的に滞在し、作品の制作やリサーチ活動を行なうこと。またそれらの活動を支援する制度。
*パブリックアート:美術館やギャラリーではなく、公共空間に設置される芸術作品のこと。
―「安心・安全なまちの回復」という部分が気になったのですが、本団体の発足にもなにか関係があるのでしょうか?
以前の黄金町は、違法なお店が並ぶような治安の悪いエリアでした。昔から住んでいる人にとって、ここは通ってはいけない場所として認識され、普通の生活が送れる環境ではなかったのです。
そのようなまちを変えようと地元の人たちが中心となって団体を立ち上げ、警察や横浜市へ働きかけを繰り返し、2005年に当時バイバイ作戦と呼ばれていましたが、違法店舗の一斉摘発を行ったという歴史があります。(※さらに詳しいまちの歴史を知りたい方はコチラ)その後、この場所をアートによってまちの再生を行うことになります。
2008年に初めて黄金町で「黄金町バザール」というアートフェスティバルを開催。その後、継続的な黄金町バザールの開催と、日常的なアートによるまちづくりを行う拠点として、2009年に黄金町エリアマネジメントセンターが設立されました。
黄金町高架下の風景
―なぜ“アート”だったのでしょうか?
まず、バイバイ作戦と同時期に、横浜市が創造界隈拠点の形成に取り組んでいたという理由があります。
横浜市は、2004年から「港を囲む独自の歴史や文化」を活用し、芸術や文化の持つ「創造性」を生かして、新しい価値や魅力を生み出す都市づくりを進めていました。
この取り組みを進めていくための拠点のひとつとして、横浜市が黄金町の活動を後押ししたというのがひとつ。
次に、立ち退きをした店舗が30平米に満たない大変狭小なスペースだったため、普通の飲食店などの参入が難しかったことがあげられます。
このスペースを有効活用できるのは何かということで、アーテイストの集積を図り、アートによるまちづくりへ進むということになりました。
―そのようなドラマがあったのですね!他にも横浜市ならではといった都市づくりの特徴はあるのでしょうか?
ここよりも海に近いエリアには、歴史的建造物や倉庫などを活用した「BankART1929」や、アートスペースを兼ね備えたレストハウス「象の鼻テラス」などの創造界隈拠点が設置されています。
こうした拠点の運営を積極的に民間団体へ委託しているのも、特徴的な部分だと思います。
アートのまち・黄金町の誕生秘話におどろいた方もいたのではないでしょうか?
実際に歩いてみると、アーティストの制作する姿が街の日常風景にすっかり溶け込んでいて、とても楽しいエリアです!
第2回では、神田さんのお仕事や現在開催中のアートフェスティバル・黄金バザール2021の見どころについてお聞きします。
(第2回につづく)
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2021.10.01~2021.10.31
開催終了
京急線日ノ出町駅・⻩金町駅間の高架下スタジオ/周辺のスタジオ/地域商店/屋外空地ほか
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。