展覧会レポート
2019.9.27
アートとしての竹工芸って?
海外ならではの視点で日本の美を再発見
東京国立近代美術館工芸館で、「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵」が開催中です。
展示風景。室内に入るとすぐにユニークな作品たちが出迎えてくれますよ。
継承者が激変している日本工芸ですが、国際的な評価はどんどん高まっています。
NYのアビー夫妻は、日本の近現代の竹工芸のコレクター。「アビー・コレクション」として知られています。
本展は、日本ではじめて「アビー・コレクション」を紹介する里帰り展。厳選された75件の竹工芸の名品の中から、地域別にピックアップして紹介します。
西日本 早川尚古斎、田辺竹雲斎、前田竹房斎など
明治近代まで日本の茶文化の中心地は大阪でした。なかでも花籃(はなかご)や盛籃(もりかご)などの竹製品は、実用品としてだけでなく、鑑賞の対象にもなりました。
技を高めあった名匠のもとからすぐれた門弟がどんどん輩出され、現代に続く竹工芸の発展に大きく貢献しています。
四代田辺竹雲斎 舟形花籃 出帆 2015年
こちらは四代田辺竹雲斎の作品。自由な発想に富んでいるだけでなく、卓越した技術を持ち合わせているのが特徴です。
東日本 飯塚琅玕斎、飯塚小玕斎、勝城蒼鳳、藤沼昇など
明治時代に花籠などを作る「籠師」と呼ばれる職人が台頭しますが、彼らは「職人」から「作家」を目指すようになっていきます。
その活動の舞台となった美術展覧会は、著名な竹工芸作家を多く生み出しました。
新たな表現手法を積極的に取り入れ、豊かな創作を繰り広げているのも特徴と言えます。
飯塚小玕斎《白錆花籠 雲龍》1990年
上から見ると花が挿せるようになっています。あくまで芸術として、竹工芸と向き合っていたのです。
九州 生野祥雲斎、門田二篁、生野徳三など
大分県・別府は、明治時代後期から、別府温泉の発展と優良な竹林資源によって、竹細工の産業が盛んになりました。
そのことから早々に竹工技術者の養成が開始され、多くの名工が生まれました。
竹工芸の分野で初の重要無形文化財保持者の認定をうけた生野祥雲斎など、めざましい活躍を見せた名匠が数多くいます。
本田聖流《舞》2000年
竹の特質を活かしたしなやかな彫刻的立体造形。芸術としての可能性が広がっています。
アビー・コレクションとして世界から称賛を浴びた竹工芸作品の数々。
日本人にない視点で構成された本展、非常にユニークで竹工芸の見方が広がりそうです。
Information
展覧会名:竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵
会期:2019.09.13〜2019.12.08
開館時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
料金:一般900円、大学生500円、高校生300円
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/93/
OBIKAKE gifts
2019年10月15日(月)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
The Abbey Collection,“Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The
Metropolitan Museum of Art.”
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
手法や系譜などの奥が深い竹工芸。アートとして見てみると、繊細な技術に発見がいっぱい!