Be-dan
2019.10.7
東京・渋谷にある「國學院大學博物館」。
國學院大學敷地内にあり小規模ですが、ここ数年入場者数が非常に増えている、今注目の博物館なんです。
落ち着いたモダンな展示室に入ると、土偶やハニワ、縄文土器の充実した「考古」展示や、珍しい「神道」をテーマとした展示、おしゃれなミュージアムショップなど内容も盛りだくさん。
そこで今回は、同館の学芸員・佐々木理良さんにインタビュー! 館内の見どころや、学芸員のお仕事のやりがい、博物館の楽しみ方まで、色々お聞きしてきました!
國學院大學博物館の学芸員・佐々木さん。
―まず、「國學院大學博物館」の特徴について教えていただけますか?
当館には、2つの大きな特徴があります。ひとつは、「神道」に関する展示があることです。
國學院大學には、神道・神社関係を専門とする学部があり、日本でも数少ない「神主さん(神職)」の資格を取ることができる大学なんです。神社に行った時、境内に「資料館」や「宝物館」を見かけたことはあると思います。
でも、博物館で「神道」の本格的な展示コーナーがあるのは非常にレアなんですよ!
―展示室には、祭祀に使われた古代の磐座(いわくら)のレプリカなどが展示されていますね!
これは奈良県の三輪山の山麓にある、5世紀~6世紀頃(古墳時代)の「山ノ神遺跡」という遺跡から出土した磐座のレプリカで、当館の目玉展示のひとつなんです。
伝統的に足を踏み入れてはいけないとされてきた「禁足地」から出土しました。ちょうど本学が得意とする「神道」と「考古学」が融合した、「神道考古学」や「祭祀考古学」といった学問分野で主に研究対象とされてきました。
迫力ある展示なので、ぜひチェックしてみてくださいね。
―もうひとつの特徴は、やはり縄文土器やハニワがズラッとならんだ「考古」コーナーでしょうか?
そうですね。國學院大學博物館では、考古展示コーナーが一番広いスペースを占めていて、ざっと今1万点くらい出品されています。
―1万点も!
正確にはもっとあります(笑)。
収蔵庫には全部で約9万点はあるので、今お出ししているのはほんの一部なんです。
それに、博物館の設立経緯もびっくりするようなエピソードで。本館の設立は1928年で、京都大学や早稲田大学と並んで最古級の大学博物館なのですが、博物館を設立したのは、なんと本学在学中の現役学部生だったんです。
―現役の学生が博物館を作ったということですか!
そうなんです。樋口清之先生が、中学生のときから集めてきた約4000点のコレクションを、大学在学中に一括寄贈したことがきっかけでした。
それ以来約90年間、コツコツ収集を続けてきた結果、ここまでの充実したコレクションになりました。
最近修復を終えて戻ってきたばかりの「火焔型土器(かえんがたどき)」や、人の顔をかたどった珍しい「挙手人面土器」など名品も揃っていますし、考古展示はすべて写真OKなのでぜひじっくり見ていってくださいね。
―最近の「縄文ブーム」や「古墳ブーム」のおかげで、来館者が増えていそうですね!
2018年夏に東京国立博物館で行われた「縄文展」で、縄文土器や土偶に興味を持った方が多数来館してくださったり、刀剣展示の際には全国から刀剣ファンがいらしたりして、昨年は特に盛り上がりました。
おかげさまで、2015年からの4年間で、来館者は約3倍の年間約8万人になりました。
日本でも有数の歴史ある「大学博物館」として、「神道」と「考古」、そして宮家ゆかりの品々を収蔵し、大学の歴史を伝える「
気になるのは、インタビューの最後でお聞きした「4年で3倍に激増した来館者数」です。一体どのように来館者を増やしたのでしょうか?
次回、Be-dan第2回では、佐々木学芸員に大学博物館でのお仕事内容について深くお聞きしていきたいと思います!
(第2回に続く)
information
会場名:國學院大學博物館
展覧会名:企画展「有栖川宮家・高松宮家ゆかりの新収蔵品」
会期:2019.08.31〜10.27
料金:無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/5476/
Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。