展覧会レポート
2019.10.17
久保惣(くぼそう)コレクションが、37年ぶりに一挙公開!
和泉市久保惣記念美術館は、大阪府和泉市で明治時代から代々綿織物業を営んでいた「久保惣」(久保惣株式会社)の創業家のコレクションがもととなって、昭和57年(1982)に開館しました。
美術館が開館時に寄贈された約500点を、「第一次久保惣コレクション」、その後も久保惣株式会社や久保家が和泉市のために購入・寄贈し、コレクションは第六次までを数えます。
本展では、第一次久保惣コレクションを中心に、日本・東洋美術品が含まれる第二次、第四次、第六次久保惣コレクションから構成されます。
ここでは、編集部が気になった作品をいくつか紹介します。
絵巻物の名品
三代久保惣太郎氏は、絵巻物を好んで収集していました。なんと「絵巻美術館」の実現を夢見るほどでした。
重要文化財《伊勢物語絵巻》(部分撮影)鎌倉 13-14世紀 第一次久保惣コレクション 和泉市久保惣記念美術館蔵 10/5〜10/27展示
在原業平(ありわらのなりひら)と聞けば、学生時代の国語の教科書を思い出すかたも多いのでは? こちらは業平の歌と恋愛の話で構成されている「伊勢物語」を詞と絵画で表したものです。
「伊勢物語」の色が着いた絵としては、現存最古のものです。鮮やかな色彩が、目を引きますね。
剣豪・宮本武蔵が描いた絵も!
(左から)住吉具慶《富士見業平図》江戸 17世紀 和泉市久保惣記念美術館蔵/重要文化財 宮本武蔵《枯木鳴鵙図》江戸 17世紀 第一次久保惣コレクション 和泉市久保惣記念美術館蔵 10/5〜10/27展示
右に展示されている作品は、剣豪として知られている宮本武蔵が描いた作品。「二天(にてん)」という号を持ち、絵を得意としていました。
武蔵は、兵法書「五輪書」で、書や絵に関わることも兵法を確立するための修行の一つと述べました。
久保惣コレクションを代表する国宝も。
国宝《青磁 鳳凰花生 銘「万声」》南宋 12〜13世紀 第一次久保惣コレクション 和泉市久保惣記念美術館蔵
中国浙江省(せっこうしょう)で作られた青磁が、大量に日本へもたらされました。なかでも「砧青磁(きぬたせいじ)*」と呼ばれる、本作のような青緑色の作品が好まれました。
「万声(ばんせい)」は、砧青磁のなかでも代表作に位置する作品。徳川将軍家や天皇家などに伝えられてきました。
*砧青磁:中国浙江省地方で南宋時代に大量に焼かれた,品質の高い青磁の日本特有の名称のこと。
地元を愛し、大切に思う和泉市久保惣記念美術館。本展を機にぜひ、大阪府和泉市にも足を運んでみてください。
information
会場名:渋谷区立松濤美術館
展覧会名:日本・東洋 美のたからばこ ~和泉市久保惣記念美術館の名品
会期:2019.10.05〜2019.11.24
前期:10.05〜10.27
後期:10.29〜11.24
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
※金曜は20:00閉館(入館は19:30まで)
料金:一般1000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/5094/
◎チケットプレゼント
2019年10月30日(水)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募フォーム
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】宮本武蔵が、絵を描いていたことに驚きました。