展覧会レポート
2019.10.18
人生を変えた2つの出会い
波乱の人生とともに名作をめぐる
上野の森美術館にて「ゴッホ展」が開催中です。
本展では、ゴッホの作品のみならず、ゴッホが影響を受けたマウフェやセザンヌ・モネなど、ハーグ派と印象派を代表する巨匠たちの作品も展示されます。
ゴッホはいかにしてゴッホになったのか? 章ごとの注目作品をご紹介します。
第1部 ハーグ派に導かれて
それまで自分で手引書を読んだり、巨匠の作品を模写したりして絵画の勉強をしていたゴッホ。
ハーグ派の画家たちとの出会いによって、専門的な技術を習得します。
ゴッホは彼らから、モティーフに対して真剣に取り組む姿勢を学びました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《ジャガイモを食べる人々》
1885年4-5月、リトグラフ(インク・紙) ハーグ美術館
この作品は、ゴッホはじめての本格的な油彩画のリトグラフ*。
土とともに生き、自然の移り変わりに寄りそう農民のありのままの姿を表そうとしました。
*石版画や平版画などと呼ばれる、版画の一種。
ここで、この展覧会をより楽しむために欠かせない、2つの画派についておさらい。
★ハーグ派とは・・
1870年〜1900年にかけて、オランダ南西部の都市・ハーグを中心に活動した画家たちのこと。オランダならではの風車や運河といった自然風景を、柔らかい光やくすんだ色調で表現しています。
★印象派とは・・
19世紀後半にフランスでおこった絵画運動。主に屋外で制作され、太陽の光とともに変化する一瞬の情景を表現するため、絵の具は原色のまま、素早く描いているのが特徴です。
第2部 印象派に学ぶ
ハーグ派に学んだ後、ゴッホはパリに行きます。
ここで開催されていた印象派展で、後にポスト印象派と呼ばれることになる若手の画家たちと制作を進めていく中で、その作風を取り入れていきます。
とくに明るい色遣いと筆の跡をしっかりと残す描き方は、その後の「ゴッホ」の方向性を決定づけました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》
1889年6月、サン=レミ 油彩、カンヴァス メトロポリタン美術館
墓場に植えられることが多いため、負の象徴とされがちな糸杉に、ゴッホは挑戦心をかきたてられました。
力強い筆づかいに、見とれてしまいます。
フィンセント・ファン・ゴッホ《薔薇》
1890年5月、サン=レミ 油彩、カンヴァス ワシントン・ナショナル・ギャラリー
そしてこの《薔薇》。あふれんばかりに咲き誇る美しいバラに目がいきます。
が、よく見ると絵の具が乾いたあとに花瓶の下部のバラを描き加えるなど、全体をまとめるための試行錯誤を知ることが出来る、重要な作品でもあります。
ゴッホだけじゃない! 名品が集結
本展はゴッホの作品だけでなく、ハーグ派・印象派の巨匠たちの作品もたっぷり展示されています。
左:クロード・モネ《クールブヴォワのセーヌ河岸》1878年 油彩、カンヴァス モナコ王宮コレクション
右:クロード・モネ《ロクブリュヌから見たモンテカルロ、エスキス》1884年 油彩、カンヴァス モナコ王宮コレクション
ゴッホの残した言葉とともに、名作にふれることができるまたとない機会です。
アントン・マウフェ《雪の中の羊飼いと羊の群れ》
1887-88年 油彩、カンヴァス ハーグ美術館
悲劇的な人生を歩んだゴッホ。
その苦難とともに歩んできた絵画の数々、お見逃し無く。
Information
展覧会名:ゴッホ展
会場:上野の森美術館
会期:開催中〜2020.01.13
詳細:https://obikake.com/exhibition/50-2/
OBIKAKE GIFTS
本展のチケットを5組10名様にプレゼント!
〆切:2019年11月6日 23:59まで
Editor | 三輪 穂乃香
ハーグ派や印象派の分かりやすい説明が、初心者にも嬉しい展覧会ですよ!