特集
2019.10.21
2019年10月、日本科学未来館に新しい常設展示「ビジョナリーキャンプ」がオープンしました。
今回は、展示の内容や見どころについてレポートをお届けします!
「ビジョナリー」とは、「未来を思い描いて、実際に周囲を巻き込みながら行動を起こせる人」だそうです。
今回の展示は、10~20代のビジョナリーたちが、プロのクリエイターや研究者と一緒に作り上げたものです。
今回のビジョナリーたちは元々、同館が今年の3月に開催したワークショップ「未来館ビジョナリーキャンプ」の参加者。
一般から応募して選ばれた37人の参加者が、3日間かけて「2030年のコミュニケーション」というテーマに挑み、チームを組んでさまざまなアイデアを出し合いました。
そこで優秀賞を獲得した3チームが、半年間かけてアイデアを形にした作品が、1年間展示されます。
いったいどんな展示なのでしょうか?
「ビジョナリーキャンプ」の展示は、3つのステップに分かれています。
まず「Step1:2030年をさぐる」で、パネルで紹介されている現在のデータを元に、2030年の社会がどうなっているのか考えます。
次の「Step2:コミュニケーションをさぐる」で、映像やコミュニケーションツールの実物を見ながら理解を深めていき……
「Step3:ビジョンをさぐる」で、そんな「2030年のコミュニケーション」のひとつの答えとなるビジョナリーたちのアイデアが形となって登場します!
3つのチームについても簡単にご紹介します。
【チーム家族】
このチームは「家族」に注目し、家族が自分に触れた時の感触をテクノロジーで再現できるツールを考えました。
親に背中をさすられて元気が出たときの感触を伝えられる毛布や、指を握る感触をリアルタイムに送れる指輪など。
ここで登場する「家族」の形も、どんなときに励まされるかも、人それぞれ。
未来のクリニックをイメージした空間で、自分なりに「家族」について考えてみましょう。
【チーム葛藤】
2030年に30歳前後になるこのチームは、「仕事と子育ての両立」というリアルな悩みに向き合いました。
10年後は今よりも便利なグッズがたくさんあって、その分「機械に頼るなんて、親としてどうなの?」という子育て世代の悩みも深まっているかもしれません。
子育てグッズをはじめとした「あるかもしれない」商品が並ぶショップで、そんな葛藤を体験できます。
便利に進化しすぎた商品を選ぶ瞬間、ふと心に生まれたモヤモヤ。それでもテクノロジーを頼るかどうか、選択を迫られます!
【チームパー】
「そもそも、自分の言いたいことってちゃんと伝わるの?」
このチームの展示は、そんな疑問にひとつの答えを出しています。
私たちは普段、いろいろなコミュニケーションツールを使っています。でも、自分の思いを100%伝えるのってなかなか難しいですよね。
相手の顔も状況もわからないままだと、どれくらい話が食い違うのでしょうか?
コミュニケーションの「不完全さ」にあえて向き合い、言いたいことを伝える難しさを体験できます。
今回の展示作品やエピローグ展示のワークショップの写真を見ていると、ビジョナリーという存在が眩しく思えるかもしれません。
けれども、彼らは最初から特別なビジョンを描いていた人たちなのでしょうか?
次回は、ビジョナリーの皆さんと、展示を作るうえでアドバイスをしたメンターの実際の声をお届けします!
information
会場名:日本科学未来館 3階常設展「ビジョナリーキャンプ」
Webサイト:https://www.miraikan.js
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。
Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。