吉澤儀造《秋の庭》1895-1903年頃 紙/水彩 小杉放菴記念日光美術館蔵
吉澤儀造《門前の茶屋》1895-1903年頃 紙/水彩 小杉放菴記念日光美術館蔵
吉澤儀造《日光の初雪》1899年頃 紙/鉛筆 小杉放菴記念日光美術館蔵
吉澤儀造《秋の庭(習作)》1895-1903年頃 紙/鉛筆 小杉放菴記念日光美術館蔵
吉澤儀造(1869~1903)は三重県鈴鹿郡関町(現・亀山市)で生まれ、若き小杉放菴も学んだ画塾・不同舎を中心に活動し、34歳で夭折した画家です。
没後長い間、その名前は全くといっていいほど忘れ去られていましたが、旧日光市が小杉放菴についての調査をする過程で、不同舎へ入学するときに同伴した先輩として吉澤儀造の存在を知ったことをきっかけに、御遺族が保管されていた水彩画とスケッチを寄贈していただくことができました。これらの作品の中には、1899(明治32)年の初冬に日光で描かれた水彩画や、日光の杉並木を描いたスケッチも含まれており、吉澤儀造が日光を訪れていたことも明らかになりました。これらの作品は、1998(平成10)年に小杉放菴記念日光美術館で開催した「吉澤儀造――幻の画家展」で初公開され、好評を博しました。
その後、改めて御遺族から、吉澤儀造や周辺作家による書簡等の資料も寄贈していただくことになり、これらを調査した結果、吉澤儀造が1901(明治34)年にも日光を訪れ、しばらく滞在していたこと、現在の鹿沼市や茨城県古河市などを巡っていたこと、さらに、次々と海外へ留学していく不同舎の仲間たちに刺激を受けて、志なかばで病死するまでヨーロッパへの強い憧憬を抱いていたことなどが明らかとなりました。
その緊張感のある構図と確かなデッサン力に裏付けられた克明な描写、そして刺激的な色彩が織りなす、写実的とも幻想的ともいえる吉澤儀造の絵画世界は、制作されてから100年以上を経た現在でも少しも色褪せることがなく、見る者を魅了してやみません。
生誕150年を迎えるこの回顧展では、当館が所蔵する吉澤儀造の作品40点余りを中心に、小杉未醒(放菴)、河合新蔵、中川八郎、吉田博など、周辺画家の作品も交え、その知られざる創作活動の全貌に迫ります。
生誕150年 吉澤儀造とその時代
2019.11.09~2019.12.22
開催終了
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
月曜日(祝日・振替休日は開館し、その翌日は休館)
一般730(650)円、大学生510(460)円、高校生以下は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方とその付き添いの方1名は無料
※第3日曜日「家庭の日」(11月17日、12月15日)は、大学生は無料となります。
小杉放菴記念日光美術館
〒321-1431 日光市山内2388-3
0288-50-1200
東武日光駅、JR日光駅から、清滝・細尾、中禅寺・湯元、西参道(東照宮)方面行き東武バス5分、神橋停留所より徒歩約3分
公益財団法人小杉放菴記念日光美術館、日光市、日光市教育委員会