齋藤芽生《徒花図鑑「間男蔓」》2008年 個人蔵
Photo ©Ken Kato Courtesy of gallery Art Unlimited
齋藤芽生《徒花図鑑「斜陽葵」》 2008年 個人蔵
Photo ©Ken Kato Courtesy of gallery Art Unlimited
R.J.ソーントン編、ライナグル画 スタドラー版刻
《フローラの神殿「ベニゴウカン」》1799年
町田市立国際版画美術館蔵
齋藤芽生 《密愛村Ⅳ 「蝉時雨を売る少女」》 2016年 個人蔵
Photo ©Ken Kato Courtesy of gallery Art Unlimited
「美術と文学の間で揺れ動いていた若い私にとって、博物学への興味は新鮮なビジョンをもたらした。一枚で独立した絵画ではなく、言葉と複数の絵からなる博物図鑑として、ものごとの体系を表現するアイディアを得たのだ。観察対象は外界の自然物ではなく、「表立って語られることのないひそやかな人生の縮図」だった。」
このように作家が語る、制作初期の《毒花(どくばな)図鑑》や《日本花色考》には、花に託された思春期の心理が、図鑑のかたちで表現されています。やがて花のモチーフから離れ、箱型の団地の窓を扱う一連のシリーズが始動。自らが幼少期を過ごした団地の記憶を元に描いた《晒野団地四畳半詣(さらしのだんちよじょうはんもうで)》では、窓枠の奥に人々の気配が描かれます。そしてその後、窓のうちの居住者へ向けられていた作家の観察眼は、外へと向かいます。図鑑や窓といった形式から脱し、日本各地への旅を重ねながらイメージを収集した現実の記録と過去の記憶がモチーフとなった《密愛村(みつあいむら)Ⅲ・Ⅳ》や《野火賊(のびぞく)》。ここでは、ロードムービーの一場面をみるかのように、今も街道沿いに遍在する歓楽施設の跡地などが再構築されています。同時に、学生時代の作家にも刺激を与えたという植物図鑑《フローラの神殿》を展覧します。本作には、28種の花々の堂々たる姿が描かれるとともに、他に類を見ない詩的な背景描写がなされ、19世紀における世界へのまなざしを見て取ることができます。
本展は、齋藤芽生作品(約100点)と、植物図鑑の至宝《フローラの神殿》(30点)を同時に展覧し、「図鑑」のように複数の絵画と言葉で社会を描く現代作家の魅力に迫ります。
線の迷宮〈ラビリンス〉Ⅲ
齋藤芽生とフローラの神殿
2019.10.12~2019.12.01
開催終了
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
月曜日 ただし、10月14日(月・祝)及び11月4日(月・休)は開館し、10月15日(火)及び11月5日(火)は休館。
一 般 800(600)円
大高生・65歳以上 600(500)円
小中生以下 無料
*障がい者手帳をお持ちの方とその付添の方1名は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*目黒区内在住、在勤、在学の方は、受付で証明書類をご提示頂くと団体料金になります。
*各種割引の併用はできません。
目黒区美術館
〒153-0063
東京都目黒区目黒2-4-36
03-3714-1201
JR山手線・東京メトロ南北線・都営三田線・東急目黒線 「目黒駅」徒歩約10分
東京メトロ日比谷線・東急東横線 「中目黒駅」徒歩約20分
公益財団法人目黒区芸術文化振興財団 目黒区美術館