展覧会レポート
2019.11.14
日本画を色別に分けた珍しい展覧会
バリエーション豊かな色の世界に注目
山種美術館にて「東山魁夷の青・奥田元宋の赤 ―色で読み解く日本画―」が開催中です。
日本画で使用される絵具は、主に鉱物や貝殻など基調な天然素材から作られています。
本展は、色別に分けて名品の日本画を多数紹介するとともに、日本画独特の美しい色を生み出す絵具の魅力に迫ります。
特に注目したい編集部イチオシの作品をご紹介します。
東山魁夷の「青」
東山魁夷《年暮る》1968年 紙本・彩色 山種美術館蔵
日本では古くから山や水といった自然のモティーフに青が用いられてきました。
青絵具の代表といえば、群青。アズライトという鉱物から作られており、非常に高価な絵具です。
東山魁夷(ひがしやまかいい)は、特に青色にこだわって制作していたようです。
本作《年暮る》は、古き良き、今は失われてしまった京都の雪景色が描かれています。
青を基調とした本作からは、しんしんと降り積もる雪の音や、除夜の鐘が聞こえてきそうです。
奥田元宋の「赤」
奥田元宋《奥入瀬(秋)》1983年 紙本・彩色 山種美術館蔵
こちらは奥田元宋(おくだげんそう)の超大作。
元宋は、四季の中でも「自然の霊気を最も強く感じる」として、春と秋を好んだそうです。
微妙に異なる色調の赤い絵具が使い分けられており、「元宋の赤」を示す代表作のひとつと言えるでしょう。
日本の絵画の最大の特徴とは?
日本画では、金や銀をはじめとする金属材料を積極的に使います。
ふつうの絵具と同じように水で溶いたり、金箔として貼り付けたりします。
小林古径《秌采》1934年 紙本・彩色 山種美術館蔵
こちらは小林古径(こばやしこけい)の作品。
古径は題材として、柿を好みました。こちらの作品の柿の葉は、枯れていく際の変化や、表裏の色の違いが、複数の金泥*で描き分けられています。
*純粋もしくはそれに近い金を粉末状にして、絵具にしたもの
お楽しみの和菓子も♪
本展でも、おなじみ展覧会出品作品をイメージして作ったオリジナル和菓子5種が登場。
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色調から、日本画で使用される絵具から、ユニークな視点で作品を読み解く本展。
紹介した色の他に、黒、金、緑、黄、白、銀の色彩豊かな作品が多数展示されていますよ。
Information
展覧会名:東山魁夷の青・奥田元宋の赤 ―色で読み解く日本画―
会場:山種美術館
会期:2019.11/02〜12/22
詳細:https://obikake.com/exhibition/272-2/
次回展:上村松園と美人画の世界
OBIKAKE gifts
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〆切は11月27日23:59まで!
Editor | 三輪 穂乃香