展覧会レポート
2019.11.15
東京国立博物館で「特別展 人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」が開催中です。
カタール国の王族、シェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が収集されたザ・アールサーニコレクション。そのコレクションの豪華さと多様な地理的・文化的背景を特色としています。
本展では、同コレクションから厳選された117件の世界各地の古代文化が生み出した工芸品を紹介。「人」と「神」、「自然」の3つのテーマに沿って古代世界を巡ります。
理想化された王の姿
第1章「人」では、各地の古代社会を統一していた王や有力者にまつわる工芸品が紹介されています。
《王像頭部》エジプト 新王国時代、第18王朝 前1475〜前1292年頃 赤碧玉 ザ・アール・サーニ・コレクション蔵
眉上から一直線に切断されたこちらの小像は、元は「ケプレシュ」と呼ばれる古代エジプトの青色の王冠を被っていたと考えられています。
本作品は、保存状態が良好で、芸術性も高いため、エジプト新王国時代の彫像の中でも、重要なものとされています。
各地の古代文明が生み出した神様
(左)《イシス像》ギリシア 古代ローマ、1〜2世紀 大理石 /(右)《仏立像》中央アジア 後グプタ文化 550年ごろ 青銅、銀、ガーネット いずれも、ザ・アール・サーニ・コレクション蔵
古代の人々はちょっとした天候不順や深刻な飢饉、また対立する都市や異民族との戦争が頻発するため、安定した社会で生活することが簡単ではありませんでした。
人たちは、神々を喜ばせるために儀式を執り行ない、自分たちの生存と社会の安定の祈りを捧げてきました。
本章では、各地の神像や奉納品から、人々と神々の関係性について展示されています。
古代の人々が認識した動物たち
第3章「自然」では、主に動物の形を模した工芸品が紹介されています。
(手前)《リュトン》アナトリア半島 青銅器時代 前2千年紀前半 金、カーネリアン、石/(奥)《アイベックス》アラビア暗闘南部 古代南アラビア文化 前1千年紀後半 いずれも、ザ・アール・サーニ・コレクション蔵
《リュトン》は、古代ギリシア語で「流れる」という意味。ワインなどの飲み物を注ぐための容器として制作され、宗教儀式などに使いました。
口元に加えたストローのようなものから、液体が出てくるユニークな仕組みになっています。
同時期開催の「正倉院の世界」(2019/10/14〜11/24)、特別展「出雲と大和」(2020/1/15〜3/8)の観覧券でも入場可能。本館の展示と一緒にぜひ。
information
会場名:東京国立博物館 東洋館3室
展覧会名:特別展「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」
会期:2019.11.06〜2020.02.09
開館時間:9:30~17:00、金曜・土曜は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし、1/13は開館)、12/26(木)~2020/1/1(水・祝)、1/14(火)
料金:一般 620 円(520 円)、大学生 410 円(310 円)
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/11-2/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は11月27日23:59まで!
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】貴重なザ・アールサーニコレクションが見られる機会です!お見逃しなく。