展覧会レポート

ー「鉅鹿」発見100年ー 磁州窯と宋のやきもの

2020.2.7

白と黒の珍しい陶器がズラリと並びます

国宝「曜変天目」も展示!

 

静嘉堂文庫美術館で「ー「鉅鹿」発見100年ー磁州窯と宋のやきもの」が、開催されています。

 

(手前から)《白地鉄絵草花文壺》磁州窯系 元時代(14世紀)/《白地鉄絵獅子花卉文壺》磁州窯系 元時代(14世紀)

 

中国の工芸文化のひとつのピークを示すものとして世界的に評価されている「宋磁(そうじ)」。2020年は、近代における宋磁コレクションのきっかけとなった北宋の町「鉅鹿(きょろく)」遺跡と磁州窯(じしゅうよう*︎)の陶器の再発見から100年目にあたるそうです。

 

*磁州窯:河北省南部に位置し、10世紀以降現代まで日用品を大量に生産した窯場のこと。

 

本展では、同館所蔵の磁州窯とその周辺の陶磁器(磁州窯系陶器)を紹介。あわせて宋磁の名品である、国宝「曜変天目(稲葉天目)」などの名品も展示されます!

 

「鉅鹿」など、馴染みの薄い言葉が並んで難しい!と感じるかと思います。本ページで、サクッと勉強していきましょう!

 

「東洋のポンペイ」?鉅鹿はどんな町?

 

中国で2番目に大きい川である「黄河」の北側に位置する河北省(かほくしょう)南部にあった鉅鹿。1108年、近隣の河川の洪水により町が一挙に泥で埋没します。

 

1920年前後に発見された遺跡から、磁州窯陶器(じしゅうよう とうき)をはじめとする大量の陶磁器などが出土!土砂でパッキングされ、当時のまま物が見つかったことから、鉅鹿は「東洋のポンペイ」と呼ばれています。

 

 

珍しい?「白」と「黒」の陶磁器とは

 

美術館で見るやきものの色といえば、青や白、赤、緑などの印象が強いのでは? 白と黒のやきものはとても珍しいです。

 

(手前)《白地黒搔落牡丹唐草文枕》磁州窯 北宋時代(12世紀)静嘉堂文庫美術館蔵

 

磁州窯のこの色合いは、ペースト状の白い土を焼く前の器にかける「白化粧(しろげしょう)」と、多量の鉄分を含むことで発色する「鉄絵具(てつえのぐ)」を使って出た色。

 

本作は、白化粧(白色)を施した器の上に鉄絵具(黒色)を塗ったあと、黒色だけをかき落として白色を出す「白地黒掻落(しろじ くろ かきおとし)」という技法によって描かれています。

 

中央に描かれているのは、ぼたんの花。裕福なことを意味する「富貴(ふうき)」のシンボルです。

 

 

そのありがた〜い模様があしらわれたトートバッグも、ミュージアムショップで販売中です!

 

 

国宝「曜変天目」について知ってる?

 

器の中に星のようなまだら模様が広がる、幻想的な「曜変天目(ようへんてんもく)」。「曜変」の名前を冠したやきものはいくつかありますが、国宝に指定されているのはたったの3つだけです。

 

国宝《曜変天目「稲葉天目」》建窯 南宋時代(12〜13世紀)静嘉堂文庫美術館蔵

 

国宝指定された曜変天目は、大阪・藤田美術館と京都・大徳寺、そして東京・静嘉堂文庫美術館にそれぞれ所蔵されています。

 

同館では、これだけまとめて磁州窯の陶器を公開するのは初めてとのこと。国宝も展示されたデラックスな本展をお見逃しなく!

 

information

会場名:静嘉堂文庫美術館

展覧会名:ー「鉅鹿」発見100年ー磁州窯と宋のやきもの

会期:2020.01.18〜03.15

開館時間:10:00-16:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし2/24は開館)、2/25(火)

料金:一般1,000円、大高生700円、中学生以下無料

展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/6569/

公式サイト:http://www.seikado.or.jp/

 

OBIKAKE gifts

本展の招待券を5組10名様にプレゼント!

〆切は2月20日23:59まで!

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Editor  静居 絵里菜

【編集後記】国宝「曜変天目」も展示!豪華な企画展です。ミュージアムショップで販売中のトートバッグもかわいかったです!

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