展覧会レポート
2020.2.13
孫弟子含め200人!?
北斎の弟子にフォーカスしたユニークな展覧会
すみだ北斎美術館にて、「北斎師弟対決!」が開催中です。
浮世絵界のビッグネーム・葛飾北斎。実は孫弟子も含めて200人にも及ぶ弟子がいたそうです。
本展では、北斎と弟子が同じテーマで描いた作品を比較することで、それぞれの画風や影響関係を紹介します。
一章 人物
北斎の筆が描き出す領域は、繊細なものからクスッと笑えるものまで、実に多様です。
弟子たちは、そんな北斎の画風を学びながら作品を制作しました。
展示風景 より左:葛飾北斎《鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則》天保(1830-44)前期 大判錦絵(前期)
右:卍楼北鵞《椿説弓張月巻中略図 山雄(狼ノ名也)主のために蠎蛇を噛て山中に躯を止む》天保年間(1830-44)大判錦絵3枚続(前期)
作品はすべてすみだ北斎美術館蔵
こちらは左が北斎、右が弟子・卍楼北鵞の作品です。
どちらも武士を描いており、つり上がった眉や目、への字に結んだ口などが共有しています。
北鵞の武士は、目が血走り歯を食いしばるなど、より鬼気迫る表情で描かれています。
二章 風景
当時、浮世絵の中で圧倒的に人気なのは、美人画や役者絵でした。
しかし北斎は、あまり注目されていなかった風景画の人気を高め、定番化するという偉業を成し遂げました。
弟子たちは、北斎の風景画を学びながらも、自身の表現を作り上げようとしました。
展示風景 より左:葛飾北斎《冨嶽三十六景 穏田の水車》天保2年(1831)頃 大判錦絵(前期)
右:春婦斎北妙《冨嶽三十六景 穏田の水車》年代未詳 豆判錦絵(前期)
北妙は、北斎の「冨嶽三十六景」などのシリーズを真似た、ミニチュア版の錦絵を制作しています。
北斎作品を忠実に再現しながらも、こじんまりとしたかわいらしさがあります。
三章 動物
北斎の弟子たちは、日常的にスケッチすることができる動物を描くのにも、北斎の描写をしっかりと学んでいます。
その姿勢には、周囲からの期待や、北斎の技術を継承する者としての自覚をうかがうことができます。
左:葛飾北斎《小禽》(前期)/右:二代葛飾戴斗《『花鳥画伝』初編 加奈阿利》(前期)
こちらはどちらにもカナリアが描かれています。
二代葛飾戴斗の作品では、カナリアに加えておしどりやつばめなど、北斎の画風を忠実に再現した鳥の表現がみられます。
四章 エトセトラ
最終章では、これまでのカテゴリーに入らないモティーフの作品を紹介。
北斎の独創的な構図、それを受け継ぐ弟子たちの技術を楽しむことができます。
展示風景 より左:二代目葛飾戴斗《『画本西遊全伝』四編 三 悟空們妖怪が洞們をやく》天保6年(1835)半紙本 読本(通期)
右:葛飾北斎《『経島履歴 松王物語』上 尊恵夢に森羅殿昇る》文化9年(1812)半紙本 読本(通期)
こちらはどちらも「炎」をモティーフとした作品。
炎に陰影をつけることで、通常の炎との違いを感じさせ、より臨場感のある描写になっています。
北斎だけでなく、弟子の魅力までもあますことなく紹介している本展。
3階ホワイエでは、北斎の弟子になったつもりで絵を描き込める大きなボードも登場しています。
私も描いてみました(笑)。
北斎は弟子に手取り足取り教えるタイプではなかったようですが、弟子はしっかり北斎の技術を盗んでいました。
細かい描写などもたっぷり見ることができますよ!
※写真は特別な許可を得て撮影しています。
Information
展覧会名:北斎師弟対決!
会場:すみだ北斎美術館
会期:2020.02.04〜2020.04.05 ※前後期で展示替えを実施
詳細:https://obikake.com/exhibition/8895/
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は3月1日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
画道を模索した弟子にちなんだ展覧会ということで、美術系の大学・専門生に【北斎の弟子割引】があるそう!