ミュージアムさんぽ
2020.3.17
「おびかけ編集部がゆく!ミュージアムさんぽ」とは
企画展だけではない、ミュージアムの魅力について、編集部がたっぷり取材します!
今回は目黒区にある日本民藝館へ。東京大学駒場キャンパスのすぐ隣に位置しています。
設立の経緯から、魅力的な展示室まで、たっぷりご紹介します!
日本民藝館とは?
「民藝」という言葉を生み出した、思想家の柳宗悦(やなぎ むねよし)が設立しました。
日本民藝館では、人々が日常生活で使うものにも美しさがあることを伝えるために、日本を中心に各国から収集した作品を展示しています。
1936年に建てられた本館は、どっしりとした雰囲気がありつつ、住宅街になじんだ懐かしい佇まい!
靴を脱いで中に入るので、誰かの家に遊びにきたかのような親しみを感じます。
障子貼られた和紙や、葛(くず)の使われた壁紙などもすべて柳がこだわったそう。自然素材が取り入れてあって温かみがあります。
どんな展示室なの?
17000点以上の収蔵品の中から、そのときの展覧会の内容に合わせて全ての展示を入れ替えます。
陶磁器、外国作品、民藝運動に関わった工芸作家の作品など、部屋ごとで緩やかなテーマがあるようです。
同じものが何度も展示されても、横に並ぶものによって見え方が変わったりするので不思議ですね。
ミュージアムとしては珍しく、展示室には陽の光がさしこみます。どのような光のもとで、どのようなケースに入れれば展示品が一番綺麗に見えるかを追求しています。
座ってゆっくり鑑賞もできます!
シンプルなガラスケースに並ぶのは、素朴でありながらこだわりのある工芸品の数々。何気なく生活の一部になっている道具も、ミュージアムという空間で改めてしっかり鑑賞することによって、それぞれの美しさや愛らしさがあることに納得できます。
民藝品が買えるコーナーも!
日本民藝館のミュージアムショップは、欲しくなるものでいっぱい!
生活に取り入れたい愛らしい食器や工芸品が、所狭しと並んでいます。
伝統的な陶磁器から個人制作のアイデアグッズまで、手作りの味わいがある逸品ぞろい。
また、年に一度の日本民藝館展では全国から公募した工芸品を実際に購入して使うことができます。毎年開催を楽しみにしているファンが多く、当日は朝早くから並ぶ人もいるのだとか!
柳宗悦が暮らしていた場所まで!
本館から道路を挟んだ向かいにある西館は、柳宗悦が家族で実際に暮らしていた場所です。
こちらは月に4日だけ一般公開しているので、事前にチェックして訪れたいですね。
入り口部分の長屋門は、栃木県で売りに出されていたのを柳宗悦が買い取って移築したのだそうです!
気になる質問、学芸員さんに聞いてみました!
―柳宗悦が、民藝のどこに魅力を感じたのでしょう?
柳宗悦は、はじめは宗教哲学や西洋美術に関心を持っていましたが、後に朝鮮古陶磁の研究者となる浅川伯教がが手土産として持ってきた民衆向けの染付けの壺の美しさに、柳が感動したことがきっかけです。
1910年代から朝鮮半島に何度も足を運び、工芸品の収集を始めました。当時は民衆の道具を美しいものとして収集する考え方は一般にありませんでしたので、気に入ったものは民家で頼んで譲り受けることもあったといいます。
―日本民藝館のおすすめの楽しみ方はありますか?
まずは展示してあるものを、じっくり見ること。ひとつ持って帰っていいと言われたら、と想像しながら見てもいいかもしれません。また、大谷石の床に西日が差してできる虹もきれいです。違う時間、別の季節に訪れると新しい発見もあるかもしれませんね。自然の移ろいを感じやすい場所なんです。
展示を見る時も、自分のコンディションによって目に入ってくるものが
変わることもあります。いつも新鮮で、何回見ても楽しめると思います。
設立者らの想いやこだわりが色濃く感じられる日本民藝館は、他の美術館とは少し違った温かみがあり、何度も気軽に立ち寄りたくなる場所です。
Information
日本民藝館
開館時間:10:00~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(但し祝日の場合は開館し、翌日休館)年末年始、陳列替え等に伴う臨時休館あり
所在地:〒153-0041 東京都目黒区駒場4丁目3番33号
公式HP:http://www.mingeikan.or.jp
アクセス:
・京王井の頭線「駒場東大前駅」西口から徒歩7分
・小田急線「東北沢駅」東口から徒歩15分
・渋谷駅西口バス乗り場より東急バス 渋55系統 代々木上原・東北沢経由幡ヶ谷折返所行き 「代々木上原」下車徒歩8分
入場料:大人1,100円、高大生600円、小中生200円
Editor | 三輪 穂乃香
OBIKAKE編集部所属。