展覧会レポート
2020.4.25
ゴッホにモネにルノワールなど名だたる優品
イギリス屈指の美の殿堂来日!
国立西洋美術館にて開催予定の、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーが館外でまとめて作品を公開するのは初めてのこと。
展示される61作品はすべて日本初公開です!
現在臨時休館中ですが、絶対に観ておきたい作品などご紹介します。
※展示作品はすべてロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵
展示は、ヨーロッパ絵画史を語るうえで欠かせない、イタリア・ルネサンス期から始まります。
カルロ・クリヴェッリ《聖エミディウスを伴う受胎告知》1486年 卵テンペラ、油彩/カンヴァス
この作品には、イタリアのアスコリ・ピチェーノという町が毎年3月25日に自治権を与えられたことを祝う記念日と、大天使ガブリエルが、マリアに神の子をみごもったことを伝えたという聖書の祭日、2つのお祝い事が描かれています。
マリア(作品右)に向かって空から降りている光の線は、彼女の妊娠を表現しています。
禁断の果実リンゴも作品中にありますよ!
フェルメール初来日作品もあります!
ヨハネス・フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》1670-72年頃 油彩/カンヴァス
ヴァージナルとは、チェンバロと似た楽器のことです。
豪華な楽器に囲まれた美しい女性がこちらを見ていますが、誰を見つめているのか、それが男性なのか女性なのかも分からず、とてもミステリアスな作品です。
室内画を得意としたフェルメール。作品中の光の差し方などから時刻を想像したり、壁にかけられた肖像画から読み解くのも面白いですよ。
美的教育を後押ししたグランド・ツアー
グランド・ツアーとは18世紀頃に確立した風習で、富裕の若者たちが数か月~数年間ヨーロッパ中を旅するものです。イギリスを中心として盛んに行われました。
彼らはグランド・ツアーの中で、偉大な芸術家の作品や古代の遺跡に触れました。
展示風景より左、カナレット《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1735年頃 油彩/カンヴァス
レガッタとは、ヴェネツィアで行われる船のパレードのことです。14世紀頃に確立して、現在も大切な伝統行事として開催されています。
グランド・ツアーでレガッタを目にしたイギリスの若者たちは、カナレットの正確な描写の「景観画」をお土産として持ち帰ったそうです。
光や大気、風までも表現した画家ターナー
ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》1829年 油彩/カンヴァス
ギリシャ神話の英雄オデュッセウスの物語を描いた本作。
トロイア戦争に勝利したオデュッセウスは、船で故郷のイギリスへ帰る途中、1つ目を持つ巨人ポリュフェモスによって洞窟に閉じ込められます。しかし仲間とともに知恵をしぼり、仲間とポリュフェモスの目をつぶして船に戻ります。
ターナーは雲や空気、水などに反射する光に興味を持ち、風景の中にそれらを表現しました。
本展の目玉、友人のために描かれたひまわり
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年 油彩/カンヴァス
7点あるとされるゴッホのひまわり(1点は焼失)。本作は友人ゴーガンのために制作した4点のうち最後に描かれたものです。
先に描かれた3点の絵は、背景が青い色であるのに対し、この絵の背景は明るい黄色です。同じひまわりでも背景によって見え方が全く違います。
世界中のひまわりを制覇してみたいですね!
「イギリスとヨーロッパの交流」をキーワードに、西洋絵画史を読み解く本展。幅広く質の高いコレクションに魅了されますよ。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《劇場にて(初めてのおでかけ)》1876-77年 油彩/カンヴァス
Information
展覧会名:ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
会場:国立西洋美術館
※首都圏を対象とした国の緊急事態宣言が解除されたことから、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を 6月18 日(木)から開幕することを決定しました。また、会場内の混雑を緩和するため、
ただし、6月18日(木)~6月21日(日)は、「前売券・招待券限定入場期間」とし、前売券および招待券をお持ちのお客様と無料観覧対象のお客様のみがご入場いただけます。この4日間については入場券の販売はございませんので、ご了承ください。
日時指定入場券は6月23日(火)入場分から販売いたします。
詳細は展覧会公式サイトをご確認くだ
展覧会公式サイト:https://artexhibition
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