展覧会レポート
2020.3.31
作家が語りかける物語とは?
「深井隆 ―物語の庭―」開催中
板橋区立美術館にて、「深井隆- 物語の庭 -」が開催中です。
展示風景
深井 隆(ふかい たかし)は、日本を代表する彫刻家。翼のある椅子や馬など、一貫したモチーフの作品を制作しています。
深井は自身の展示空間に「物語」が存在すると言っています。
そこにはどんな物語はあるのでしょうか?
気になった作品をいくつかご紹介しながら、本展で繰り広げられる「物語」をのぞいてみます。
深井を代表するモチーフ「翼」
深井は翼のある椅子や馬、柱などをモチーフとして「人間の存在」について問うた作品を制作し続けています。
《王と王妃》2018年
「王と王妃」は、深井が1976年より制作を続けているシリーズです。
一対の椅子が横並びに配置されており、それぞれリンゴと本がおかれています。
人間の欲を象徴するリンゴと、知の歴史を表した本の対照的なモチーフを並べることで、人間という存在、自分自身について考えさせられます。
本展で初公開の新作も
《青空―2020》2020年
こちらはこれまでの翼+椅子の組み合わせではなく、翼単体で制作された作品。
1枚1枚羽が刻み込まれた翼からは、どこか力強さや希望などのメッセージが感じられます。
展示空間にただよう静寂
《月の庭 ―月に座す―》2006年
馬のモチーフもまた、深井がよく用いるモチーフです。
「月の庭」は、馬と円柱、円錐などのコンビネーション作品で、これまで追求してきた存在、時間、生死などのテーマに「日本」という概念が加わった転換期的な作品だそう。
特に本作の円錐は、盛り塩のようにも見え、展示空間全体に神聖さ、緊張感を与えています。
展示配置も、自然や宇宙など変わらないものを表現した、日本庭園の枯山水を感じさせるようです。
1990年代はじめから未発表の新作まで、本展出品作はすべて自身でセレクトしたそう。
会場内は撮影可能になっています。深井隆の新たな物語のはじまりをかんじてみてください。
《幻想の闇より》1993年
Information
展覧会名:深井隆- 物語の庭 -
会場:板橋区立美術館
会期:2020.03.14〜2020.06.28
※ご来館の際は、公式サイト等で開館情報をご確認ください。
詳細:https://obikake.com/exhibition/9517/
板橋区立美術館公式サイト:https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/
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Editor | 三輪 穂乃香
静かな展示空間でさまざまな角度から作品をながめて。
良い展示だった♪