展覧会レポート
2020.4.12
北斎のパロディに、思わずニヤリ
古今のアートをつなぐユニークな展覧会
国立新美術館で開催予定の「古典×現代2020-時空を超える日本のアート」。
展示室入り口
150年以上前に日本で作られた絵画や仏像、陶芸、刀剣などを、現代に生きる8人の作家と対になるように組み合わせて展示する本展。
国立新美術館は現在臨時休館中ですが、特別に注目作品をご紹介します!
北斎×しりあがり寿
展示風景
葛飾北斎を敬愛する漫画家・しりあがり寿。あの有名な〈冨嶽三十六景〉を現代風に解釈したパロディ作品を発表します。
左:葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道江尻田子の浦略図》江戸時代・19世紀 大判錦絵 和泉市久保惣記念美術館蔵
右:しりあがり寿《ちょっと可笑しなほぼ三十六景 ロボットの腕回収》2017年 和紙にインクジェットプリント 作家蔵
北斎作品中では中心に船が大きく描かれていますが、しりあがり寿はこれをロボットの大きな腕に置き換えているのがわかりますか?
パロディは、絵に少し手を加えることで、わたしたちに今まで見たことがない新鮮な驚きを与えてくれます。
浮世絵版画の傑作と、奇想天外な現代風刺画が並ぶことで、時代を超えた笑いの創造力を楽しむことができますよ!
花鳥画×川内倫子
展示風景
私たちの身の回りでは、多くの命が生まれ、同時に失われています。江戸時代の花鳥画は、そんな儚い命の輝きを描いています。
写真家・川内倫子も作品の中に小さな生き物たちを写しています。
展示風景
身近な生き物から壮大な大自然までをとらえた川内倫子作品と、伊藤若冲らの花鳥画の組み合わせで、生命の循環に迫ります!
仙厓×菅木志雄
展示風景
江戸時代の禅僧・仙厓(せんがい)の円相図(写真中央)。
〇は、線がずっとつながっており、始まりも終わりもありません。昔から人々は、〇の形を果てしなく続く宇宙や、仏教の悟りなどとして表現してきました。
美術家の菅木志雄もそれと通ずる部分があります。彼らはそれぞれの〇から何を表現してきたのでしょうか?
乾山×皆川明
展示風景
乾山(けんざん)は、江戸時代に乾山焼を生み出し、陶芸の世界に新たな風を吹き込みました。皆川明は、ミナ ペルホネンというブランドで、良質なデザインのある暮らしを提案してきました。
展示風景より尾形乾山《銹絵染付梅波文蓋物》江戸時代・18世紀 MIHO MUSEUM蔵
2人とも自然界から模様やかたちのヒントを得て、何年も人々に親しまれるようなデザインを追い求めています。100年愛されるデザインとはどのようなものでしょうか?
シンプルで華やかな作品が生み出すインスタレーションに注目です!
古い時代と現代のアートを見比べながら8つの部屋をめぐる本展。
日本のアートの魅力を新たな視点で見つめなおす、ユニークな展覧会でした!
展示風景
Information
展覧会名:古典×現代2020-時空を超える日本のアート
会場:国立新美術館 企画展示室 2E
会期:2020.06.24~08.24
新型コロナウイルスの影響により、会期が変更になりました。詳細は、国立新美術館および展覧会 HP でご確認下さい。
国立新美術館 HP: https://www.nact.jp
展覧会 HP :https://kotengendai.exhibit.jp
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Editor | 三輪 穂乃香
現在臨時休館中ですが、おうちで雰囲気だけでも味わってもらえたらうれしいです。