展覧会レポート
2020.8.7
現代アーティストとのコラボも!
美しい装飾品・調度の数々にうっとり
サントリー美術館にて「リニューアル・オープン記念展 I ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」が開催中です。
展示風景より手前左から:野口哲哉《THE MET》、《RED MAN 2016》、《Avatar1―現身―》、《FRONTEER》、《Un samuraî vient》いずれも個人蔵、《賀茂競馬圖屛風》江戸時代
サントリー美術館は、開館以来「生活の中の美」を基本理念に、展示や収集活動をしてきました。
リニューアル後初の本展では、この基本理念に立ちかえり、日本人の生活を彩ってきた化粧道具や調度、装飾品などを厳選して紹介します。
美しくデザインされた「日常の道具」
古来から日本では、芸術作品だけでなく、暮らしの中で使う道具にも「美」を見出し、とても大切にしてきました。
展示されている化粧道具や着物、屏風などは、どれも日常の道具とは思えないような美しいデザインがほどこされています。
《菊唐草蒔絵化粧道具揃》一具 江戸時代【全期間展示】
《菊唐草蒔絵化粧道具揃》では、鏡とともに、櫛や眉作りのための道具、お歯黒のための道具などが並びます。
はじめはこのような豪華なセットは、一部の特権階級や、神様のみが所有していましたが、江戸時代ごろになると、次第に婚礼調度として富裕層に広まりました。
宴に使用されたとっておきの器たち
宴は日々の中でも、ハレの場の代表のひとつです。
昔から人々はお酒を片手に、祭や祝いの場を楽しみました。
《朱漆塗湯桶》一口 室町時代【全期間展示】
朱漆(しゅうるし)の器は、ハレの日に用いられることが多く、本作もそのひとつです。
祭礼や酒宴などで多くの人々に湯や茶を注ぐためや、寺院での食事に使用されました。
日本の美意識に変化を与えた「異国趣味」
桃山時代、ポルトガルやスペインとの南蛮貿易が始まり、日本人も海外の文化や品々に触れるようになっていきました。これらは憧れや関心の的となり、南蛮人を描いた「南蛮屏風」が流行します。
伝 狩野山楽《南蛮屛風》六曲一双 桃山時代 展示期間:【7/22~8/17】
本作は、日本の港町にやって来た大きな船や、オランダの貿易商・カピタン一行、目を引く衣装を着た異国女性などが描かれています。
南蛮屛風は、これまで日本になかった美意識を加えながらも、伝統的な技法や様式で描かれ、多くのバリエーションが生まれました。
現代作家の作品は必見!
本展では、古美術に深く関わる現代作家の作品も展示。昔から伝わる名品の数々と、現代の作品を同じ空間で味わうことができます。
山本太郎《熊本ものがたりの屛風 女性のハレの日金屛風》三曲一隻 2017年【全期間展示】
“日本の古典絵画を現代の視点で再構成した「ニッポン画」”を制作する作家・山本太郎の作品です。
本作は、誰が袖図を思わせる構図が特徴です。誰が袖図とは、描かれている衣装や小物から持ち主を想像する絵のことです。
金色の画面の中に、ウェディングドレスやデジタル機器が描かれる本作は、一人の女性の結婚式の日を描いているのでしょうか。
日本の「異国趣味」、昔とどこが違う?
前述で紹介した、南蛮屛風と合わせて楽しめる現代作品もあります。
展示風景より左、山口晃《成田国際空港 南ウィング盛況の圖》(版画)一面、《成田国際空港 飛行機百珍圖》(版画)一面
いずれも平成30年(2018)ミヅマアートギャラリー
©︎YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery【全期間展示】
こちらは描き込みの細かい版画作品です。よく見ると、搭乗カウンターで手続きをする南蛮人の姿が!
近世の日本にとって南蛮船の出入りする港は、珍しい情報や品々、そして外国人との交流ができる世界への窓口でした。
現代でいう、国際空港のようなものだったのでしょうか?
古くからの生活にかかわる名品だけでなく、現代の作品とも比較して鑑賞できる本展。
ますますパワーアップしたサントリー美術館、ぜひ訪れてみてくださいね。
展示風景
Information
展覧会名:リニューアル・オープン記念展 I ART in LIFE, LIFE and BEAUTY
会場:サントリー美術館
会期:2020.07.22〜2020.09.13 ※展示替えアリ
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/
※感染症予防の観点から、事前にオンラインチケットをご購入いただくことをおすすめします。
※感染症対策を実施しています。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
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本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は8月16日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
現代アーティストとのコラボが良いスパイスになってます♪
次回のリニューアル記念展にも注目!