ミュージアムさんぽ
2020.9.8
「おびかけ編集部がゆく!ミュージアムさんぽ」とは
企画展だけではない、ミュージアムの魅力について、編集部がたっぷり取材します!
今回は、東京・銀座にあるセイコーミュージアム 銀座へ。「時計」の歴史をあますことなく紹介する博物館です。
同館は1981年に、創業100周年記念事業として東京・墨田区に設立されました。以来、「時と時計」に関する資料・標本の収集・保存と研究を目的とする資料館として知られています。
セイコーミュージアム 銀座 外観
2020年8月、創業者・服部金太郎(はっとり きんたろう)の生誕160周年を記念し、墨田区から創業の地・銀座へ移転。
「セイコーミュージアム 銀座」として新たに開館しました。
今回は、各フロアの見どころを、たっぷりとご紹介していきます!
1F はじまりの時間
並木通りの新しいランドマーク「RONDEAU LA TOUR (ロンド・ラ・トゥール)」は、なんと高さ5.8mの大きな振り子時計です!RONDEAU LA TOUR
30分ごとに楽しいメロディーが流れ、人形たちが歯車を回します。メロディーは2種類あるので、歩くたびに新鮮な気持ちで楽しむことができそうです。
そしてミュージアム壁面には、銀座の街並みにピッタリな並木が描かれています。
こちら近づいてよーく見てみると・・・。ウォッチとクロックの歯車が描かれています!これらの歯車の中には、セイコーに関するモチーフが紛れ込んでいますよ。
右上のニワトリは、日本初のCMに出演した歴史あるニワトリです!
おびかけ編集部も1つ見つけました♪ 皆さんも見つけて、館内で答え合わせをしてみてはいかがでしょうか。
2F 常に時代の一歩先を行く
2F 「常に時代の一歩先を行く」展示風景
2Fでは、セイコーの創業者である服部金太郎の人生や挑戦がわかる資料が展示されています。
明治維新により日本が急速に近代化を進める中で、金太郎は未来を見据えて時計商を目指して「服部時計店」と時計製造工場の「精工舎(せいこうしゃ)」を立ち上げました。
ぜひ見て欲しい目玉の展示はコチラ!「てんわ穴明けねじ切自動機」です。
(手前)てんわ穴明けねじ切自動機
それまでの日本では、時計の部品を製造する工作機械の多くは、欧米から輸入されたものでした。金太郎はその機械を自社開発するようになります。
「てんわ穴明けねじ切自動機」は、時計の心臓部である「てんぷ」という部品のバランスを取る「チラねじ」という部品を取り付けるためのねじ穴を明ける自動機です。
そばにあるボタンを押すと、実際に動き出す工夫も楽しいですよ。
「ピンチ」を「チャンス」に
1923(大正12)年、関東大震災が発生したことで工場が全焼。精工舎は創業して以来の大変な被害を受けました。
関東大震災で焼けた懐中時計 1923(大正12)年
この時、顧客から修理のために預かっていた時計が1500個ほどありましたが、それらも火災により焼け溶けてしまいました。
金太郎は「顧客に迷惑をかけない」という姿勢を貫き、これらを預かり書なしで新品と交換しました。そのサービス精神が、当時大きな話題になりました。
3F 自然が伝える時間から人がつくる時間
3Fでは、時計の進化の歴史と、日本独自の「和時計」が紹介されています。
3F 自然が伝える時間から人がつくる時間 展示風景
時を計る道具は、今から7000年ほど前にエジプトで誕生して以来、仕組みや精度、大きさなどの面で大きく進化してきたといいます。
こちらは、自然の力を利用した時計です。人類はまず、自然現象の規則性を見つけてさまざまな形態の「時を計る道具」を、何世紀にもわたって考案してきました。
これらの歴史が一度に見られるのは、とても貴重です!
日本独自の時刻制度「不定時法」
江戸時代の日本では、「不定時法(ふていじほう)」という時刻制度が使われていました。
夜明けと日暮れの時刻を境界として、昼と夜を6等分にし、その時刻の単位を「一刻(いっとき)」と呼んでいました。
季節によって昼と夜の長さが変わる不定時法は、とても複雑!
そこで、江戸時代の日本人たちは、この複雑な不定時法に対応する「和時計」を作り出しました。
3F 自然が伝える時間から人がつくる時間 展示風景
和時計は、秒針を動かす運針(うんしん)の速さを変えたり、時計の目盛を変えるなどさまざまな工夫がされています。
続く、4Fの「精巧な時間」では、セイコーの歴史を振り返る、代表的な製品が展示されています。
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Editor | 静居 絵里菜
地下1階から5階まで!まるごと時計のミュージアムとなっていて、ボリューミーな展示でした◎細かなところにも「時計」のモチーフが。ぜひ探してみてくださいね!