展覧会レポート

1894 Visions ルドン、ロートレック展

2020.11.9

キーワードは「1894年」

三菱一号館美術館 開館10周年記念展

 

三菱一号館美術館にて「開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展」が開催中です。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

展示風景

 

三菱一号館が建てられた1894年。日本は近代化への道を歩き始めていました。

本展のキーワードは「1894年」。三菱一号館美術館が数多く所蔵するロートレックと、世界でも屈指のルドンの作品群を持つ岐阜県美術館、そして同時代に活躍した画家の名品の数々を紹介します。

 

 

ルドン 黒から色彩へ

 

オディロン・ルドンは1840年、フランスの南西部の町ボルドーで生まれました。

ルドンは「黒」のイメージで広く知られていますが、それらの作品は主に木炭で描かれた作品群を指します。

版画家としてデビューしたのは1879年。 決して早いデビューとはいえませんが、ルドンの場合は、個性を固めるための準備期間となりました。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

左:オディロン・ルドン《骸骨》1880年頃 岐阜県美術館蔵
右:オディロン・ルドン《悲嘆》1893年頃 岐阜県美術館蔵

 

奇妙なモチーフが登場する絵の数々は、当時退廃芸術として紹介され、フランス、ベルギー、オランダの文学者を中心に注目を浴びました。

ルドンの作品は、同世代の印象派が屋外制作を中心としていたのに対して、夢や想像の世界から多くのヒントを得て制作されました。

 

1894年の個展で初めて色彩の作品を発表したのち、徐々に黒から色彩へと移ります。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年

 

三菱一号館美術館おなじみの《グラン・ブーケ》は、色彩溢れるルドンの傑作のひとつです。

19世紀末は装飾芸術運動が盛んでしたが、20世紀になると衰退していきます。本作は1901年に制作されており、この運動の最後を飾る作品として位置付けることができます。

 

 

画家=版画家 ロートレック

 

トゥールーズ=ロートレックは幼いころから画家を目指しており、動物画家や歴史画家などに学びました。

ロートレックがパリの右岸・モンマルトルで絵画を学んでいた頃、カラー・リトグラフがポスターに盛んに使われるようになり、この技法を用いて《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》を発表します。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

展示風景より左からアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)》1893年、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《コーデュー》1893年、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュ・ラ・グーリュ》1891年 すべて三菱一号館美術館蔵

 

ロートレックのポスターは美術愛好家の関心を引くようになり、愛好家のための室内用のポスターも制作するようになります。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

左:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン》 1893年 ひろしま美術館蔵
右:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《アリスティド・ブリュアン 彼のキャバレーにて》 1893年 三菱一号館美術館蔵

 

また、100部限定の豪華な版画集『レスタンプ・オリジナル』に作品を寄せるなど、アーティストとしても活躍したロートレックのような画家を、当時は「画家=版画家」と呼んで、その才能を称えました。

 

 

19世紀後半に活躍した画家から知る1894年

 

ルドンとロートレックの周辺で活躍した画家もあわせて紹介されています。

この時代は、ちょうど印象派が生まれて間もないころです。1874(明治7)年に第1回が開催された印象派展には、ルノワール、モネ、シスレー、ピサロ、ドガそしてセザンヌが出品していました。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

展示風景より、左からピエール=オーギュスト・ルノワール《麦藁帽子の若い娘》1888-1890年頃 三菱一号館美術館寄託、ピエール=オーギュスト・ルノワール《長い髪をした若い娘(あるいは麦藁帽子の若い娘)》1884年 三菱一号館美術館寄託、アルフレッド・シスレー《ルーヴシエンヌの一隅》1872年 三菱一号館美術館寄託

 

ルドンとロートレックも作風を確立するまでの間は、印象派の画家たちの影響を受けています。

また、印象派の画家のなかでもドガピサロは、版画に強い関心を抱いていたそうです。モロー、ミレー、ピサロ、ルノワール、モネ、セザンヌなど、同時代を生きた素晴らしい画家たちに注目ですよ。

 

 

Café 1894では美味しいコラボデザートも♪

 

館内のCafé 1894では、展覧会にちなんだデザート“おとなのグラン・ブーケ”を注文することができます。

 

1894 Visions ルドン、ロートレック展/展覧会レポート/三菱一号館美術館

左:オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》1901年

右:おとなのグラン・ブーケ 販売価格:990円、販売時間:14:00~17:00

 

ふんわり軽い食感のチョコレートムースに、甘酸っぱいカシスのソースが大人のフレーバーです。

目でも舌でも展覧会を味わってみてはいかがでしょうか?

 

 

三菱一号館美術館と岐阜県美術館。互いのコレクションを問い直すユニークな展覧会です。

また、本展は事前予約制です(当日チケットもあり)。詳しくは公式サイトをご確認ください。

 

 

Information

開館10周年記念 1894 Visions ルドン、ロートレック展

会場:三菱一号館美術館

会期:2020.10.24〜2021.01.17

公式サイト:https://mimt.jp/visions/

チケット購入はコチラ

※本展覧会は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、各時間の入場人数に上限を設けています。

※事前予約なしで、当日に当館のチケット窓口でチケットをご購入いただく事も可能です。(毎時先着順のご案内)

 

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〆切は11月30日23:59まで!

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Editor  三輪 穂乃香

【編集後記】

グランブーケはなんど観ても素敵ですよね。引き込まれる~~

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