展覧会レポート
2020.11.25
20世紀西洋美術の歴史を総覧
3館合同の贅沢な展覧会!
横浜美術館にて「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」が開催中です。
展示風景
本展は、国内の地方を代表する3つの公立美術館、横浜美術館、愛知県美術館、そして富山県美術館の西洋美術コレクションを一堂に会するものです。
3館が誇る西洋美術コレクションから20世紀美術史を彩った巨匠たちの作品を厳選し、絵画を中心に約120点の作品を紹介します。
第1章 1900sーー アートの地殻変動
20世紀の芸術家たちは、前時代の印象派やポスト印象派を超えようと、さらに新しい表現を模索していきます。
左:パブロ・ピカソ《座る女》1960年 富山県美術館蔵
右:パブロ・ピカソ《肘かけ椅子で眠る女》1927年 横浜美術館蔵
3館のコレクションには、この時期を代表する芸術家の重要な作品が多く含まれますが、中でもその代表と言えるのが、20世紀美術に大きく影響を与えたパブロ・ピカソです。
富山県美術館が所蔵する《座る女》は、皆さんの思い浮かべるピカソ作品と近いのではないでしょうか。
目と鼻、口がすべてさまざまな角度から描かれており、極度に変形されています。とても抽象的な人物画ですが、実際にモデルにポーズをとってもらって描いていたそうですよ。
1900年以降の時代は、キュビスムやフォーヴィスムなどの抽象芸術、第一次世界大戦前後に発展した構成主義やダダなど、アートの概念や価値基準が激しく揺さぶられ、変化していきました。
第2章 1930sーー アートの磁場転換
1930年代以降は、シュルレアリスムが盛んになります。
夢、無意識、偶然性などから、人の内にある真のリアリティを開示しようとしたこの芸術思想は、文学をはじめあらゆる分野の芸術家を巻き込み、国際的な運動へと発展していきました。
左:ジュアン・ミロ《花と蝶》1922-23年 横浜美術館蔵
中央:ジュアン・ミロ《パイプを吸う男》1925年 富山県美術館蔵
右:ジュアン・ミロ《絵画》1925年 愛知県美術館蔵
世紀末のヨーロッパでは、ジャポニスム(日本趣味)が流行していました。
シュルレアリスムを代表する画家・ジュアン・ミロも、俳句や浮世絵などに関心を寄せており、初期作品に日本のモティーフを取り上げています。
《絵画》や《パイプを吸う男》の線や点が持つ豊かな表情も、日本美術への興味からかもしれません。
1930年代からは、大戦後におきたアメリカでのムーブメントや、ヨーロッパ中心の勢力図からの脱却など、世界各地の芸術家、芸術運動が相互に影響を与えあう時代に突入していきました。
第3章 1960sーー アートの多元化
第二次世界大戦後の美術は、新しい芸術家たちの登場によって、どんどん幅広いものになっていきます。
中でもポップ・アートは、60年代アメリカのアートシーンを席巻しました。
アンディ・ウォーホル《マリリン》1967年 富山県美術館蔵
大量生産やマスメディアを主題としたキャッチーな作品は、世界中の人々を魅了しました。
一方で、表現要素を極限までそぎ落としていくミニマル・アートも生まれます。
この流れは、作品自体よりもアイデアや表現意図といった観念性に重きを置く芸術表現へと展開します。
展示風景より左、フランク・ステラ《タラデガ》1981年 富山県美術館蔵
3館が1970〜80年代に収集活動を開始した当時は戦後、まさに、同時代の美術でした。
富山県美術館をはじめとする各館が、作品の価値が定まっていなかった「現代美術」の収集にあたってきました。今日では多くの作品が、国際的に高い評価を得ています。
美味しくてかわいいメニューも♪
横浜美術館内ミュージアムカフェ「Café 小倉山」では、展覧会限定メニューを楽しむことができます。
左:トライアローグのオープンサンド クラムチャウダー付き 1,000円(税抜)
右:マグリットのヘーゼルナッツラテ 450円(税抜)
横浜、愛知、富山の代表的な食材をのせたオープンサンドに、マグリットをオマージュしたヘーゼルナッツラテなど、鑑賞後に楽しんでみてはいかがでしょうか?
なお、本展終了後横浜美術館は大規模改修工事のため、長期休館となります。休館前最後の展覧会を、ぜひお見逃しなく!
Information
トライアローグ
横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション
会場:横浜美術館
会期:2020.11.14〜2021.02.28
公式サイト:https://yokohama.art.museum/special/2020/trialogue/
※本展は日時指定予約制です。購入サイトはコチラ
※新型コロナウイルス感染症拡大防止についてはコチラ
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本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は12月13日23:59まで!
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】