array(1) { [0]=> int(14226) } 芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師/展覧会レポート | OBIKAKE(おびかけ)

展覧会レポート

芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師

2020.12.15

西井正氣氏のコレクションより、263点を展示

「血みどろ絵」だけじゃない!月岡芳年の魅力に迫る展覧会

 

うらわ美術館で、「芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」が開催中です。

 

芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師 展示風景より

 

月岡芳年(つきおか よしとし/1839-1892)は、幕末から明治という浮世絵最後の時代において活躍した「最後の浮世絵師」の1人といわれています。

 

本展では、芳年のコレクションとしては質、量ともに世界屈指とも言われる西井正氣氏のコレクションより、263点の作品を展示。

処女作から晩年期の作品まで、芳年の画業の全貌を紹介する展覧会です。

 

師匠譲りのダイナミックな構図!

 


(手前)

月岡芳年「文治元年平家の一門亡海中落入る図」嘉永6年(1853)

 

芳年は嘉永3年(1850)、数え年で12歳の時に歌川国芳(*)に弟子入りしました。

国芳に入門後、3年で「文治元年平家の一門亡海中落入る図」(写真手前)を描きます。この時、芳年は15歳。新人としては贅沢な3枚続きの作品を描いています。

 

*歌川国芳(うたがわ くによし):歴史上の英雄などを描いた「武者絵」を得意とした浮世絵師。
代表作は、中国の豪傑を一人ずつ描いた武者絵シリーズ「通俗水滸伝豪傑百八人之一個(つうぞくすいこでんごうけつひゃくはちにんのひとり)」など。

 


月岡芳年「那智山之大滝にて荒行図」安政6年~万延元年(1859-60)

 

こちらは、文覚上人(もんがく しょうにん)というお坊さんが、那智滝で荒行(*)をしている場面を描いたものです。滝の描写にご注目!

こちらは、摺り上げた後に胡粉(*)を飛ばして、水しぶきを表現。臨場感あふれる作品です!

 

*荒行(あらぎょう):修行者などが、けわしい山を登ったり、野宿や断食をしたり、滝にうたれたりする修行のこと。

*胡粉(ごふん):牡蠣(かき)や蛤(はまぐり)、ほたて等の貝がらからつくられた日本画の白色絵具のこと。

 

「血みどろ絵」だけではない、芳年の魅力

 

「月岡芳年」と聞くと、やはり多くの方が「血みどろ絵」を思い浮かべるかと思います。

実は芳年の「血みどろ絵」は、1970年代初頭から、アングラ文化のブームにより、注目されたといわれています。

 

「血の饗宴」や「異常作品群」などのタイトルで、芳年の画集・単行本が出版されたことにより、芳年=血みどろ絵というイメージが定着してしまったそうです。

 


月岡芳年《英名二十八衆句》展示風景

 

「血みどろ絵」を展示するコーナーには、残酷なシーンが多く含まれた作品が多く展示されています。展覧する際はご注意ください。

 

新聞錦絵の世界で、人気絵師へ

 

月岡芳年《郵便報知新聞》 展示風景より

 

芳年は、明治8年(1875)に、《郵便報知新聞》で新しい新聞錦絵という、ニュース性が重視された浮世絵と、新聞の小説挿絵を描き、新聞小説挿絵でも人気絵師となりました。

 

《郵便報知新聞》は、殺人事件や心中もののほか、幽霊や妖怪などの怪奇現象が写実的に描かれています。

 

ドラマチックな浮世絵

 

月岡芳年「藤原保昌月下弄笛図」明治16年(1883)

 

晩年の芳年の作品は、明と暗静と動を巧みにあやつり、ドラマチックな場面で構成されています。どれも、足を止めて見入ってしまう作品ばかりです!

 

本作は、明治15年(1882)の第一回内国絵画共進会に出品した肉筆画(*)を、翌年錦絵として出版したものです。

 

*肉筆画(にくひつが):浮世絵版画と区別して、浮世絵師が自ら筆で直接描いた浮世絵のこと。菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)の《見返り美人図》が有名です。

 

画面中央で笛を吹いている男性は、平安時代中期の貴族、藤原保昌(ふじわらの やすまさ)です。

その後ろには、盗賊の大親分の袴垂(はかまだれ)が、保昌に襲い掛かろうとしていますが・・・

保昌の気配に圧倒されて手出しができないという、場面が描かれています。

 

「月」をテーマとした作品

 


(左)月岡芳年「月百姿 はかなしや波の下にも入ぬへし つきの都の人や見るとて 有子」明治19年(1886)
(右)月岡芳年「月百姿 朝野川晴雪月 孝女ちか子」明治18年(1885)

 

《月百姿(つきひゃくし)》は、明治18年(1885)から、芳年没年の25年(1892)までの実に8年の歳月をかけて描かれたものです。

 

「月」をテーマとした壮大なアンソロジー(*)で、芳年の画業の集大成ともいえる作品です。

 

*アンソロジー:作品集のこと。

 

明治20年代に入ると、浮世絵版画のピークは過ぎ去り始めます。版元も次第に姿を消していく中、こうした大揃いが出版することができた芳年は、「最後の浮世絵師」と呼ぶにふさわしいと言われています。

 

芳年の画業を総覧する本展。

本展で展示されている作品は、どれも版木(はんぎ)の木目が見えるほど、保存状態の良いものばかりです。

お近くの方はぜひ、会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

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本展の招待券を5組10名様にプレゼント!

〆切は12月22日23:59まで!

応募フォーム

 

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展覧会名

芳年―激動の時代を生きた鬼才浮世絵師

会期

2020.11.18~2021.01.24 開催終了

会場

うらわ美術館

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策が実施されています。

ご来館のお客様は、必ずこちらをご確認ください。

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Editor  静居 絵里菜

【編集後記】これ、版画!?と思うほど、リアルな描写にびっくりしました。この冬、絶対観てほしい浮世絵展です!

 

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