array(1) { [0]=> int(16443) } 特別展「源氏物語の絵画―伝土佐光信『源氏系図』をめぐって」/展覧会レポート | OBIKAKE(おびかけ)

展覧会レポート

特別展「源氏物語の絵画―伝土佐光信『源氏系図』をめぐって」

2021.2.11

源氏物語の各場面を鮮やかに再現!

扇や屏風に描かれた源氏物語の絵画を紹介

 

中之島香雪美術館(大阪)にて、「源氏物語の絵画―伝土佐光信「源氏系図」をめぐって」が開催中です。

 

 

日本最古の長編物語である『源氏物語』は、平安時代に成立以来、数多くの写本が作られ、愛読されました。出光美術館と天理図書館には、色鮮やかな表紙絵が描かれた『源氏物語』の写本が所蔵されています。

この写本は、土佐派の絵師と画業をまとめた幕末の資料「本朝画事(ほんちょうがじ)」に、土佐光信が表紙絵を描いたと記されています。

そして香雪美術館(神戸)が所蔵する新出の「源氏系図(*)香雪本も、これらの写本に連なる作品と考えられています。

 

本展では、土佐光信の周辺作品や表紙絵にかかわる資料により、「源氏系図」香雪本についてを紹介しつつ、色紙や扇、屏風などに描かれた土佐派の「源氏絵」を展示。室町時代から江戸時代にさまざまな形で描かれた『源氏物語』を紹介する展覧会です。

 

*源氏系図(げんじけいず):源氏物語の登場人物を、略歴と共に系図にまとめたもの

 

時代を超えて愛される『源氏物語』

 

 

紫式部によって著された『源氏物語』は、主人公・光源氏の生涯を中心に描いた長編物語です。

 

桐壺帝(きりつぼのみかど)の子として生まれた光源氏が、多くの女性と恋愛を繰り広げる青年期から、光源氏の亡き後、子・薫(かおる)を主人公とする物語までの3部で構成され、巻数は54巻までにも及びます。

 


源氏物語 附秋草蒔絵箪笥 江戸時代 17世紀 鶴見大学図書館

 

第1章の冒頭で展示されている、「源氏物語 附秋草蒔絵箪笥(つけたりあきくさまきえたんす)」にご注目!

こちらの箪笥(たんす)には、『源氏物語』の各巻がおさめられています。また二列三段の引き出しには、収納する巻名が記されています。

 

なでしこ、すすき、菊などの秋草を金銀の蒔絵で、秋草に宿る露を螺鈿(らでん)と銀鋲(ぎんびょう)で表現。二列三段の引き出しには、収納する巻名が記されています。

 

*銀鋲(ぎんびょう):頭部に笠形のものがついている、装飾もかねた釘のこと。

 

その豪華さと優美さに、心奪われることでしょう。

 

源氏物語の読解の鍵?「源氏系図」

 

 

源氏系図とは、『源氏物語』の登場人物について略歴を付して系図にまとめたもので、読者が『源氏物語』を読む際の手引きとなりました。

 

現存する源氏系図は、室町時代後期の公家、三条西 実隆(さんじょうにし さねたか)が1488年以降に統一・補正した「新系図」と、それ以前の「古系図」に分けられます。

 

香雪美術館が所蔵する「源氏系図」香雪本は、新系図に分類されます。

 

 

源氏系図 表紙:伝 土佐光信(室町時代 16 世紀)
香雪美術館

 

表紙には、物語制作の命令を受け、石山寺で祈願していた紫式部が『源氏物語』の構想を思いつく場面が描かれています。この表紙絵は、「源氏物語五十四帖」の表紙絵を描いたとされる土佐光信が描いたと考えられています。

 

第2章では、最新の研究結果や土佐光信の作品、関連資料などをもとに「源氏系図」香雪本への理解を深めていきます。

 

*絵所預:宮廷の屏風や障子などの絵画制作を担う公的機関「絵所」をとりまとめる最高責任者のこと。

 

扇や色紙、屏風などに描かれる圧巻の源氏絵

 

 

源氏物語をテーマとした絵画「源氏絵」は、絵巻はもちろん、色紙や掛軸、屏風などにも描かれました。

絵画化の手法は、54巻全てを表現したり、3〜6場面や1場面のみを取り出したりと、さまざま。第3章では多様な源氏絵について、土佐派の作品を中心に紹介しています。

(左)重要文化財 源氏物語手鑑 夕霧一 絵:土佐光吉 詞:冷泉為満
(桃山時代 慶長 17 年〈1612〉)和泉市久保惣記念美術館
※この場面は1月30日~ 2月14日

(右) 重要文化財 源氏物語手鑑 絵合 絵:土佐光吉 詞:阿野実顕
(桃山時代 慶長 17 年〈1612〉)和泉市久保惣記念美術館
※この場面は1月30日~ 2月14日

 

土佐光吉によって描かれた「源氏物語手鑑」は、重要文化財に指定されています。物語の各巻から選ばれた場面を、色紙に表現。良質な絵具が使われ、建物や楽器、着衣などが細かに描写されています。


源氏物語図屏風 江戸時代 17世紀 個人蔵

 

様々な作品の中で、特に目を引いたのが、《源氏物語図屏風》。

「帚木」「関屋」「少女」「胡蝶」「野分」「若菜上」の六場面が描かれています。画面を金雲で区切ることで、左右一組の屏風に六場面を表現しました。

その画風から、近世初期風俗画の傑作「相応寺屏風」を描いた工房の作品とされています。人物の顔の向きやポーズ、樹木のかたち、木目の質感など、相応寺屏風との共通点が多数見出されます。

 

 

土佐派への理解が深まる作品や資料も展示

 

第4章では、土佐派の絵師と画業をまとめた幕末の資料「本朝画事(ほんちょうがじ)」に関連する作品が展示されています。

 

また第5章では、土佐光信以前に活動した土佐派の作品を紹介。土佐光信が土佐派の祖先と認識していた行光や、土佐を名乗った最初の画人と言われる土佐行広によって描かれた仏教絵画も鑑賞できます。

 

 

 

成立以来、多くの人々を魅了し続けてきた『源氏物語』。その世界観を、様々な絵画を通して味わえる展覧会です。

華麗な源氏物語の世界を、じっくりと堪能してみてはいかがでしょうか。

 

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展覧会名

特別展「源氏物語の絵画―伝土佐光信『源氏系図』をめぐって」

会期

2021.01.30~2021.03.14 開催終了

会場

中之島香雪美術館

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Editor  静居 絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

 

Writer  美間実沙

大阪在住のフリーランスライター。ライフスタイル/インテリア/アートなどの分野を中心に、様々なメディアで執筆しています。趣味はレザークラフト 、京都観光、温泉めぐり。
Twitter https://twitter.com/misa_writer

【編集後記】

「あさきゆめみし」はお気に入りの漫画の1つで、中学生の頃から繰り返し読んできました。屏風や扇に「源氏物語」の名場面が鮮やかに蘇り、感動。源氏物語ファンなら必見の、展覧会です!

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