展覧会レポート
2021.4.16
フィンランド建築の巨匠アアルト
夫妻が目指したデザインとは?
世田谷美術館にて「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」が開催中です。
展示風景
アルヴァ・アアルト(1898-1976)は、フィンランドを代表する建築家です。その建築や家具デザインは、今でも世界中の人々を魅了し続けています。
そんなアルヴァの仕事を対等な関係で支えたのは、妻・アイノでした。
本展では、これまで注目される機会の少なかった妻・アイノの仕事にも着目することで、アアルト建築とデザインの本質と魅力を見つめ直します。
また、2020年にギャラリーエークワッド、竹中大工道具館にて開催した先行企画で展示された作品資料の展示のほか、長年遺族のもとで保管されてきた初公開資料なども紹介します。
「二人のアアルト」によって形成されたアアルト建築
まだ無名の建築家だったアアルトの事務所をアイノが訪ねたのは1924年のこと。彼女はそこで働きはじめ、ふたりは半年後に結婚します。
アイノは、アルヴァと事務所を牽引し、現在も続くアルテック社の初代ディレクターを務め、自身も建築家・デザイナーとして活躍しました。また、家庭と普段の生活を愛する、二人の子どもの母親でもありました。
展示風景
アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれ、使いやすさや心地よさを重視した空間には、優しさと柔らかさが生まれます。
アルヴァは生涯に200を超える建物を設計しますが、アイノとともに建築家としての駆け出しの25年間を過ごし、世界的建築家へとなっていきました。
アアルト建築は、「二人のアアルト」によってかたちづくられたと言えるでしょう。
国際舞台で活躍する夫妻
1930年代、アアルト夫妻は国際的にも評価され始めます。1937年には、パリ万国博覧会に参加し、中心的な役割を果たしました。
博覧会のテーマは「近代生活における芸術と技術」。大きな注目を集めたこのフィンランド館の設計は、アルヴァのキャリアにとって重要な節目となり、建築家としての大きな躍進に繋がっていきます。
展示風景
展示会場には、ニューヨーク万国博覧会の「フィンランドのうねる壁」を再現した巨大なセットが出現中。こちらは撮影可能となっています!
近代的で、今見ても新しく感じる、アアルトのエッセンスを感じ取ってみてください。
人気の高いアアルト製品
1932年に禁酒法が廃止されたこと、そして安価な生活用品の需要が重なったことにより、フィンランド国内ではガラス製品の販売・製造が促進されました。
夫妻も、1930年代には集中してガラス器のデザインを手掛けています。
アアルトのテーブルウェアは、現在でも世界中の人々から愛されていますが、なかでもガラス製品の「ボルゲブリック」はご存知の方も多いのではないでしょうか?
展示風景
重ねると水紋のように見える美しさを備えるだけでなく、使いやすく収納しやすい実用性も備えたこの製品は、デザイナー・アイノの名が広く知られるきっかけになりました。
初公開となる貴重な資料
本展は、フィンランドのアルヴァ・アアルト財団と、遺族によるファミリー・コレクションの全面的な協力により実現しました。
展示風景
家族の写真やプライベートなスケッチなどによるファミリー・コレクションは日本初公開となります。
美術館の併設レストラン「ル・ジャルダン」では会期中、展覧会とコラボした限定メニューを提供中です!
北欧で有名な「サーモン」「ソーセージ」「ベリー」などを使用した、フィンランドをイメージした料理や、北欧ビールなどが楽しめるそう。
目でも舌でも、フィンランドを満喫できますよ♪
フィンランドが誇るアアルト夫妻。
アイノは54歳という若さで他界しますが、ふたりが協働した25年間は、かけがえのない創造の時間となりました。
互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら生まれた作品の数々をお見逃しなく!
展示風景
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!(※事前予約制)
〆切は2021年5月9日23:59まで!
応募フォーム ※終了しました
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アイノとアルヴァ 二人のアアルト
フィンランド―建築・デザインの神話
2021.03.20~2021.06.20
開催終了
世田谷美術館 1階展示室
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Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
テレワーク中は、ボルゲブリックのタンブラーがおともです♪(笑)