展覧会レポート
2021.6.2
ミュシャがうらわにやって来た!
バラエティ豊かな仕事の数々を紹介する展覧会
うらわ美術館にて「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」が開催中です。
展示風景
アルフォンス・ミュシャは、ヨーロッパを中心に起こった芸術運動「アール・ヌーヴォー」を代表する画家・デザイナーです。
現代においても高い人気を誇るミュシャは、流麗な女性を描いたポスターが有名ですが、その魅力はポスターだけではありません。
本展では、よく知られた商業ポスターはもちろん、本、雑誌、ポストカード、切手、紙幣、メニューや商品パッケージなど、ミュシャの仕事の数々を紹介します。
見どころ①
人々に愛されたミュシャの装飾パネル
19世紀に成熟したリトグラフ(石版画)の手法は、ポスターや印刷物の分野に大きな変革をもたらします。それまで絵画は一点物として制作されており、一般市民の手に届くようなものではありませんでした。
大衆のために芸術を創りたいと考えていたミュシャは、作品が安価にそして大量に制作できるリトグラフをいち早く取り入れました。
展示風景
リトグラフを使って誰でも買える装飾パネルを制作することにより、商業ポスターで有名になっていたミュシャの人気は、さらに高まりました。
ミュシャの装飾パネルはくらしを彩るアイテムとして、人々のあいだで急速に広まっていきました。
見どころ②
ミュシャが制作したデザイナーの教科書
ミュシャがデザイナーとして制作したアール・ヌーヴォー様式の教科書ともいうべき図案集が、1902年に出版された『装飾資料集』です。
全72枚の図版からなるデザインは、植物、人物、動物、活字、家具、装飾品、と広域にわたるモチーフが掲載されており、まさにアール・ヌーヴォーの「装飾デザインの総合辞典」でした。
展示風景
本展では『装飾資料集』を全ページ公開!
また、全40枚からなる人物画集『装飾人物集』もあわせて展示されます。こちらは、多種多様なポーズ、表情、姿勢をした人物を収めたものです。
当時の美術学生のバイブルを、じっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか?
見どころ③
祖国・チェコにささげた作品
アメリカで制作資金を得て、祖国・チェコに戻ったミュシャは、スラヴ民族の歴史を描いた20枚の連作《スラヴ叙事詩》を制作します。
ミュシャはこの大作に後半生をささげました。本展では、《スラヴ叙事詩》がプラハ市に寄贈された際の式典のポスターを紹介しています。
展示風景
《スラヴ叙事詩》の制作のかたわら、ミュシャは独立を宣言したチェコスロヴァキア新政府の切手や紙幣、警察官の制服などのデザインを任され、ほとんど無償で引き受けました。
チェコ時代のミュシャの作品からは、スラヴ民族、そして祖国への愛が感じられますよ。
見どころ④
くらしを彩るデザインの数々
ミュシャの人々のくらしを彩るデザインは世界中に広がり、その人気を不動のものとします。その作品は商品パッケージからポストカード、当時流行した絵入りのメニューなどさまざまです。
本展では、よく知られたポスターだけでなく、そうした生活に根差したミュシャのデザインまでたっぷり鑑賞することができます!
ともに《ホイットマン社のチョコレート容器》OGATAコレクション蔵
カレンダーやお菓子のパッケージ、母国・チェコの紙幣、ポストカードなど。
今見てもその美しいデザインにうっとりですよ♪
《チェコで制作されたポストカード》OGATAコレクション蔵
時代を超えてもなお私たちを惹きつけるミュシャ。
そのバラエティ豊かな仕事の数々から、ミュシャの新たな一面を見つめ、その魅力を再発見できる貴重な展覧会でした。
美しいコラボメニューも!
うらわ美術館と同一ビル内に位置するロイヤルパインズホテル浦和では、ミュシャの作品から着想を得たアフタヌーンティー&スイーツや、ミュシャの生まれ故郷・チェコ共和国のお料理をフィーチャーしたコラボレーションビュッフェを開催中です。
こちらも鑑賞と合わせて楽しみたいですね!
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MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ
2021.04.17~2021.06.20
開催終了
うらわ美術館
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
展示数に圧倒されます・・・!
コラボスイーツも試してみたい♪