展覧会レポート

新・晴れた日 篠山紀信

2021.6.11


篠山紀信の60年間を116作品で振り返る

時代の熱量をとらえた作品に注目です

 

東京都写真美術館にて「新・晴れた日 篠山紀信」が開催中です。

 

東京都写真美術館「新・晴れた日 篠山紀信」展覧会レポート

展示風景

 

日本を代表する写真家・篠山紀信(しのやま きしん)。数多くの雑誌の表紙やグラビアを手がけ、写真家として時代をつくり出して、現在も第一線で活躍し続けています。

本展は「新・晴れた日 篠山紀信」と題し、写真集『晴れた日』の構造を使って、2部構成で60年間にわたる篠山紀信の116作品を展示します。

 

 

写真界で注目を集めた初期~1970年代

 

第1部では1960年代の初期から〈晴れた日〉、1976年のヴェネチア・ビエンナーレでも出品された〈家〉ほか、1970年代までの主要作品を紹介します。

なかでも篠山紀信の特徴を凝縮した写真集が、『晴れた日』です。本作は、1974年に『アサヒグラフ』誌で連載され、後に写真集にまとめられたもので、長嶋茂雄やオノ・ヨーコなど、誰もが知るアイコンをちりばめながら、社会の動きを広範囲で捉え、昭和という時代を鋭く批評した作品となっています。

 

東京都写真美術館「新・晴れた日 篠山紀信」展覧会レポート

展示風景より、〈晴れた日〉 [北海道苫小牧市勇払原野]1974年 

東京都写真美術館蔵

 

〈晴れた日〉[北海道苫小牧市勇払原野]は、日本でも数少ない大規模な開発が行われた苫小牧東部で撮影されたものです。人の気配がなくなった廃屋が、まるで絵のように切りとられた、印象的な作品です。

 

また、同じ1970年代、篠山は雑誌『明星』の表紙を手がけたことにより、「アイドル」という新しいジャンルの文化を生み出します。

篠山紀信がいかにして「時代の創造者」となったか、その幅広い活躍の原点を垣間見ることができます。

 

 

80年代以降の激動の時代をとらえた作品

 

第2部では、1980年代以降の作品を中心に、バブル経済による変貌をはじめ、昭和から平成、そして令和と、急速な変化をつづける東京の姿、東日本大震災の痕跡など、同時代を生きるひとびとをとらえたシリーズを幅広く紹介します。

 

東京都写真美術館「新・晴れた日 篠山紀信」展覧会レポート

展示風景

 

最も息の長い仕事となる〈人間関係〉や、バブル景気を背景に制作されたシリーズ〈TOKYO NUDE〉、歌舞伎座の建て替えに伴う2010年の「歌舞伎座さよなら公演」を追ったドキュメンタリー〈THE LAST SHOW〉など、自身を‟時代の並走者”と語る篠山紀信が写し出す、「時代のドキュメント」をあますことなく紹介。

また、東日本大震災がもたらした痕跡を写した〈ATOKATA〉も出品されています。

 

東京都写真美術館「新・晴れた日 篠山紀信」展覧会レポート

〈ATOKATA〉2011-18年

 

震災が起きた2011年、篠山は同年に4回被災地を訪れ、そのようすを写真集にまとめました。

津波によって倒された木々や倒壊した建物など、自然の恐るべきエネルギーとは対照的な、静かな自然をとらえた作品となっています。

 

 

 

写真家・篠山紀信の60年間の全活動を再検証する本展。116作品から、篠山紀信の「写真の魔力」を再認識してみてください。

 

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展覧会名

新・晴れた日 篠山紀信

会期

2021.06.01~2021.08.15 開催終了

会場

東京都写真美術館 2、3階展示室

※2021.06.01より再開

※本展はオンラインによる日時指定予約を推奨いたします。

日時指定予約Webketページ(外部サイト)

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Editor  三輪 穂乃香

【編集後記】

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