展覧会レポート ニュース

企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」

2021.6.17

『大正名鑑器鑑』刊行100年を記念する展覧会!

高橋箒庵と初代・根津嘉一郎の友情にも注目です。

 

根津美術館にて、「企画展 茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」が開催中です。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 根津美術館
企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 展示風景

 

茶入と茶碗は、今日の茶の湯でもっとも人気の高い道具として知られています。

この2つの道具が重視されている理由に、大正10年(1921)より刊行が始まった『大正名器鑑』(たいしょうめいきかん)の存在があります。

 

全9編11冊にもおよぶ『大正名器鑑』では、茶入436点と天目・茶碗439点の名品を掲載。それらの鑑賞ポイントが、明確に示されています。

 

『大正名器鑑』の刊行100年を記念する本展では、同書の成立過程の紹介しつつ、あわせて同館蔵の茶入と茶碗の名品を展示。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 根津美術館
重要文化財 肩衝茶入 銘 松屋 福州窯系
中国・南宋~元時代 13~14世紀 根津美術館蔵

 

また『大正名器鑑』の編者・高橋義雄(1861-1937、号 箒庵(そうあん))と、同館のコレクションの基礎を築いた初代・根津嘉一郎の厚い友情にもスポットを当てて紹介します♪

 

 

漆塗り木箱に納まった豪華な本!

 

OBIKAKE 展覧会レポート 企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 根津美術館
『大正名器鑑』(初版本)高橋義雄(箒庵)編 全9編11冊、索引
日本・大正10年~昭和2年(1921~27)根津美術館蔵

 

 

『大正名器鑑』は、高橋義雄によって編さんされた、茶道の大名物図鑑です。

 

400部印刷された初版本は、関係者を中心に配られました。

当初より高い評価を得ていたため、最後の索引が刊行されてからわずか1年半後の昭和3年(1928)には、早くも再販されました。

 

国内のほか、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランスの博物館・図書館などにも寄贈され、現在でも茶道具の基礎資料として活用されています!

 

 

箒庵と初代・根津嘉一郎の厚い友情にも注目!

 

箒庵と根津嘉一郎は歳が近く、明治末期頃から赤坂と青山にあったそれぞれの邸宅を行き来し、茶の湯を通して交流を深めました。

 

箒庵は自らを根津嘉一郎の茶の湯の「後援者」と称し、一方、嘉一郎は箒庵を良きアドバイザーとして、信頼を置いていました。

 

 

OBIKAKE 展覧会レポート 企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 根津美術館
書状 高橋箒庵 筆 日本・昭和時代 20世紀 個人蔵

 

 

こちらは、箒庵が長女の芳子(愛称・延子)に宛てた、愛情あふれる手紙を掛軸にしたものです。

箒庵が亡くなった半年後の昭和13年5月、嘉一郎はこの軸に箱に「箱書き(*)」をしました。

 

嘉一郎の箱書きは珍しく、箒庵と家族ぐるみの付き合いをしていたことがよくわかります!

 

*箱書き:絵画や書、陶磁器などの美術品を収める箱に、題を記し、署名や押印などをすること。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」 根津美術館
書状 高橋箒庵 筆 日本・昭和時代 20世紀 個人蔵

 

真ん中に描かれているのは、愛娘・延子をイメージした人形が描かれています。

手紙の内容を現代語訳したパネルも展示されています。箒庵が娘をとってもかわいがっていることが、よくわかる内容なので、ぜひ読んでみてください♪

 

 

 

根津美術館のコレクションの基礎を築いた『大正名器鑑』の世界を紹介する本展。

それぞれの名品とともに、同書の鑑賞ポイントがパネルで詳しく展示されているので、「茶の湯」の文化初心者でも、楽しめる展覧会です♪

 

 

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展覧会名

企画展 「茶入と茶碗 -『大正名器鑑』の世界-」

会期

2021.05.29~2021.07.11 開催終了

会場

根津美術館

※根津美術館では、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一つとして、すべての入館者を対象とするオンラインによる日時指定予約制を導入しています。詳しくは美術館公式サイトをご確認ください。

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Editor  静居 絵里菜

【編集後記】

茶の湯の道具について、わかりやすく展示されています。

初心者にもオススメの展覧会です♪

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