展覧会レポート
2021.7.2
バリエーション豊かなアイヌ民族の衣服を紹介
その素材にも注目です!
渋谷区立松濤美術館にて「アイヌの装いとハレの日の着物―国立アイヌ民族博物館の開館によせて」が開催中です。
アイヌの装いとハレの日の着物 展示風景
アイヌ民族とは、北海道を中心とした樺太(サハリン)南部、千島列島、東北地方北部の先住民族のことです。
本展は、2020年7月に北海道白老町に開館した「国立アイヌ民族博物館」の開館1周年を記念する展覧会です。
アイヌ民族の服飾文化を2章に分けて紹介します。
第1章 アイヌの装い
アイヌの衣服の素材には、けものの皮や樹木の皮、木綿などが使われていました。
ここでは、樹皮衣(アットゥシ)など中心に、さまざまな素材で作られた衣服を紹介します。
(左から)《樹皮衣(アットゥシ)》現代作品、貝澤雪子 作
《糸玉(カタク)》現代作品、素材:シナノキ/《糸玉(カタク)》現代作品、素材:オヒョウ/《反物》現代作品、貝澤雪子作、いずれも公益財団法人アイヌ民族文化財団
写真右の2つのヤシの実のようなものは、樹木の繊維を糸状にし玉にしたものです。
この糸玉は、アイヌ語で「カタク」と呼ばれています。
横長の糸玉に注目!
こちらは、アイヌ語でアッニ(オヒョウ*)の樹皮から採った繊維を糸にしたものです。
この繊維からできた着物は樹皮衣(アットゥシ)と呼ばれ、これを一着作るためには、糸玉が2キロ以上必要だといいます。
*オヒョウ:おもに山地、まれに平地でもみられるニレ科の落葉高木(らくよう こうぼく)のこと。どんな木なのかは、こちらの「北海道森林管理局」(外部リンク)をご覧ください。
第2章 ハレの日の着物
北海道南部の太平洋側にある内浦湾沿岸の有珠(うす)・虻田(あぶた)周辺(現在の伊達市、洞爺湖町)には、「ルウンペ」と呼ばれる木綿の衣服があります。
《色裂置紋木綿衣(ルウンペ)》 展示風景 いずれも、20世紀 早稲田大学會津八一記念博物館蔵
この「ルウンペ」は木綿の衣服の中でも、比較的古い時代からつくられていたと考えられています。
ダイナミックかつ細かなアイヌ文様の民族衣装に、心惹かれる人も多いのではないでしょうか?
本展で展示されている衣服からは、アイヌ女性の手ぬいの技術と美意識の高さがうかがえます♪
アイヌの装飾品にも注目♪
衣服の展示のほか、アイヌ民族が儀礼のときに使っていた装飾品も紹介しています。
こちらは、女性が儀礼のときに身に着ける首飾りです。
(左から)《首飾(シトキ)》19世紀 東京国立博物館蔵/《首飾(シトキ)》20世紀 早稲田大学會津八一記念博物館蔵
青や黒、白、黄色など色とりどりのガラス玉が連なり、中には模様のついたトンボ玉が含まれています。
これらの玉の多くは、大陸や本州との交易によってもたらされたと言われています。
アイヌ民族の服飾文化を紹介する本展。
バリエーション豊かな衣服を、ぜひ間近でご覧になってみてはいかがでしょうか?
なお、会期や開館時間等は変更する場合があります。最新情報は美術館公式サイトをご確認ください。
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本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は2021年7月12日23:59まで!
応募フォーム ※終了しました
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アイヌの装いとハレの日の着物
―国立アイヌ民族博物館の開館によせて
2021.06.26~2021.08.09
開催終了
渋谷区立松濤美術館
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】
間近で観ると、迫力あるアイヌの文様。その刺しゅうの技術の高さに驚きました!