Be-dan

画家・深澤雄太さんが、藝大在学中に作家としてのチャンスを掴むまで(2/4)

2021.7.12

今月のBe-danは、豊かな色彩が魅力の画家・深澤雄太さんにインタビュー!

東京藝術大学(以下、藝大)在学中から個展を重ね、現在でも多くのファンが新作を待っている注目の油彩画家です。

 

深澤雄太さん ※撮影時のみ、マスクを外していただきました。

 

第2回では、藝大でのエピソードや、在学中からコマーシャルギャラリー(*)で個展を開催することになったきっかけを、たっぷりとお聞きしました!

(第1回はコチラ!)

 

*コマーシャルギャラリー:ギャラリーの主人が企画した展覧会のみを開催するギャラリーのこと。ギャラリーが作家と契約し、作品を展示・販売する。

 

 

―深澤さんは、現役で藝大に合格されましたが、いつ頃から受験の準備を始めたのですか?

 

高校2年生の冬くらいです。美大受験も高校受験でお世話になった美術予備校へ通いました。

実は第一志望は藝大ではなく別の大学でした。自分では合格は厳しいと思っていましたが、その大学の合格通知をもらったときは本当に嬉しかったです。

その流れで藝大の一次試験に通ったときは、「藝大にも合格できるかもしれない」と思いました。合格できたらお世話になった予備校の先生方はもちろん、家族もきっと喜んでくれるはずだから、「自分は絶対に落ちない」と信じて最後まで頑張りました。なので、受験がすごく大変だったという感覚はあまりなかったです。

 

―大学入学後はどんな出来事がありましたか?

現在の作風に至るまでについてもお聞きしたいです。

 

藝大生時代は、毎年開催される藝祭に向けて出品作品の試行錯誤を重ねていました。藝祭とは、学外の方に作品を観ていただける一大イベントです。

1年目は本当に何を描いたらいいか分かりませんでした。受験のときは必ず課題があり、それを“絵”という答えにしていたからかもしれません。しかし、藝祭に出す作品は自分で問いを作り、その問いの答えを作品にすることが求められました。

 

 

1年生の時、茨城県取手市にあるキャンパスに通っていたので、一人暮らしをしていました。一人暮らしを始めたとき、僕はキムチばっかり食べていたんです。そこで、自分の身の回りのもの、自分の身体を作ってくれているそのキムチを、F100号(162×130.3cm)で描きました。

しかも、赤色ではなく青色で真面目に(笑)。

 

アオイキムチ

 

―青いキムチ! インパクトがありますね。

 

2年目は、描くモチーフを一度デッサンしたら、あとはもう何も見ないでキャンバスにいきなり描く、というチャレンジをしました。

これがあまり自分の感覚にしっくりこなかったので、3年目はさらに作風を変えて《飛鳥山のみえる展望台》というF100号の作品に取り組みました。


飛鳥山のみえる展望台

 

この作品をきっかけに、今お世話になっているギャラリー、タグボートの代表・徳光健治さんに声をかけていただいたんです。

 

―3年間の試行錯誤を経た作品が、タグボートさんとの出会いにつながったんですね!

その後すぐ、初めての個展を開催されましたね。

 

はい。最初はタグボートさんのオンラインショップに作品を2~3点出したのですが、嬉しいことにすぐ完売したんです。それから深くお付き合いさせていただいています。

実はオンラインショップで販売いただく少し前、タグボートさんとは全く関係なく、汐留で行われた藝大・美大生のアートイベントでも作品を展示販売していました。しかし、こちらでは全く売れませんでした。

 

コマーシャルギャラリーで作品を扱っていただくと、今スタートしたばかりのような若手作家でも評価いただけることを、驚きと共に実感した出来事でした。

 

 

試行錯誤を経て生まれた作品が評価され、在学中からアートファンに名前を知られるようになった深澤さん。2019年3月に東京藝術大学絵画科油画専攻を卒業し、以降、本格的に作家活動に取り組まれています。

第3回は、定期的に執筆・更新されているブログや、これまでに影響を受けた作家についてお聞きします。

次回もお楽しみに!

(第3回につづく)

 

 

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Editor | 静居 絵里菜

OBIKAKE編集部所属。

Writer | naomi

採用PR・企業広報職、Webメディアのディレクターなどを経て、アート&デザインライターに。
作品と同じくらい魅力的な、作家の人となり・ストーリーも伝えたくて書いてます。
好きなもの・興味関心と守備範囲は、古代文明からエモテクのロボットまでボーダーレスです。

note  https://note.com/naomin_0506

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