Be-dan
2021.8.9
今月のBe-danは、名画の続きを描くワークブック『ヨンブンノサン』を考案した丸山琴さんに、インタビュー!
第2回では、名画の一部に空いた空白のなかを自由に描くぬりえ『ヨンブンノサン』を使ったワークショップについて、詳しくお聞きしました。
(第1回はコチラ)
丸山琴さん
―丸山さんは『ヨンブンノサン』を使用したワークショップを各地で開催していますね。
小学校で子ども向けに行う場合もあれば、企業のファミリーイベントととして親子向けに行うこともあるようですが、内容に違いはあるのでしょうか?
違いはほとんどありません。『ヨンブンノサン』は子どもも大人も関係なく楽しめるように作っています。ワークブックは、似たようなモチーフがある名画を見開きで横並びになるように構成してあるので、家庭でも親子で一緒に名画の続きを描いて楽しめます。
―ワークショップではどのようなことを行うのですか?
参加者の皆さんが『ヨンブンノサン』に描いた絵を見ながら、一人ひとりと話をします。例えば、優しくサワサワ〜っと色をぬっている子だったら、「こんなに優しく色えんぴつを使うなんて、きっとお友だちにも優しくできるんだね!」と伝えたり。描かれた絵の色使いや、ぬり方、力の緩急など、そういうものからその子らしさを見つけ出して、言葉にしていきます。
―人それぞれの良さを、ワークショップという限られた時間の中で見つけていくというのはすごいですね!
私が人の感性に触れることが好きだからなのかもしれませんね。描かれた絵は、その時その人から湧き出た感性そのもので、その感性というエネルギーは汗や涙と同じで、意識せずとも表現されるものだと思います。つまり、絵の魅力を言葉にすることで、描いた人の存在を肯定できると思っています。
―その人らしさを見つけて言語化していくことの他に、ワークショップで大切にしていることや心がけていることはありますか?
普段絵画を見ない子たちにも届けるため、小学校単位で行っています。
人生で一度でも『ヨンブンノサン』のワークショップに触れて「自分らしさ」を肯定する経験ができたら、たとえ子どもたちが、このワークショップのことを忘れてしまっても、未来のどこかでその子たちの背中を押すことができるのではないかと思うのです。
―すてきな考えですね。ワークショップに参加した子どもたちからはどんな反応がありましたか?
参加者からは、「いままでは、はみ出さないようきれいに色をぬらないといけないと思ってたけど、今日の授業を受けて、自由にぬっていいとわかった」や、「色ぬりの楽しさや、自分らしさが知れてよかったです」などといった感想をいただきました。
ある小学校では、クラス全員のメッセージが付いたカレンダーをくれました。これはもう私の宝物です!
ほかに印象的だったのは、ドッジボールにしか興味がないと思われていた少年が夢中になって描き出し、彼の絵を見ようと担任の先生をはじめ、校長や教頭先生など先生方が寄ってきた、ということもありました。
ワークショップで出会った子どもたちからのメッセージを、笑顔で紹介してくれた丸山さん。
第3回では、オンラインでのアートワークショップについてたっぷりとお聞きしていきます。
次回のBe-danもお楽しみに♪
(第3回につづく)
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Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
Writer | 岩本 恵美