Be-dan
2021.8.16
今月のBe-danは、名画の続きを描くアートブック『ヨンブンノサン』を考案した丸山琴さんに、インタビュー!
『ヨンブンノサン』は、名画の一部に空いた空白部分を色えんぴつで自由に描くぬりえです。丸山さんはこのアートブックを元に、小学校や学童、保育園などでワークショップを行っています。
丸山琴さん
第3回では、オンラインでのワークショップで行っている授業についてお聞きしました。
(第2回はコチラ)
―現在は『ヨンブンノサン』を使ったワークショップ以外にも、子ども向けにオンラインのワークショップも開かれているそうですね。
コロナ禍という事態になり、対面でのワークショップを開催できなくなりました。楽しみにしていてくれた子どもたち、お子さんのためにワークショップを申し込んでくださった保護者の方の気持ちに応えようとオンラインでできることを考えました。
また、社会全体が不安定になっている時だからこそ、美しいものや自分の内側を見つめられるものを届けたいとも思いました。
―オンラインのワークショップではどんなことをするのですか。
名画を使って、ものの見方や感性を育むプログラムを行っています。
例えば、ミニチュアの金屏風に絵を描いたり、14種類の青の色えんぴつを使って緩急の表現を学んだり。また、点描画から無数の色を見つけることや、特殊紙に金のペンでラリックの模写、“音”に着目して踊りながら抽象画を楽しむなど、さまざまなプログラムで子どもたちに楽しんでもらっています。
そうして作られた作品から、その子らしさを見つけて言葉にして伝えるところは『ヨンブンノサン』と同じです。
―名画そのものや作者について解説をすることもあるんでしょうか。
名画のタイトルや作者については後からいくらでも学べると思うので、ワークショップでは子どもたちに教えることは、あえてしていません。それよりも、それぞれの感性で名画を見てもらい、「アートは楽しい」ということを体感してもらいたいと考えています。
―それにしても、いずれのプログラムもとてもユニークです。これらの発想はどこから来ているのですか。
私自身、名画を見たときに「楽しい」と感じたポイントをそれぞれのプログラムに落とし込んでいます。そこに色合いや見せ方など、子どもたちの感性で楽しいと思えるものを掛け合わせて、組み立てていくように心がけています。
楽しいのはもちろん、感動を生み、ワークショップでの体験が実生活に繋げられるような形を目指しています。あくまで日常と地続きとなる中で名画を楽しんでほしいと思っています。
―こうした教材やワークショップを作る際に大切にしていることはありますか。
オンラインでのワークショップは、くつろぎの場である自宅でのワークショップとなるので、参加者が緩み過ぎないよう演出に工夫をしています。
自宅のくつろいだ空間と、面白いと思えるオンラインワークショップの体験が重なれば、アートに興味を持つ子どもたちが増えると信じています。実際に、普段は野球少年でアートには興味がなかった子が、オンラインワークショップに参加したことで、「美術館に行きたい」と自ら美術館に足を運んでくれました。
子どものころに「アートは楽しい」という原体験があれば、大人になってからもアートに触れやすいのではと考えています。そして、それは子どもたちの豊かな将来につながると思うのです。
名画をより身近に感じるユニークな教材を作成する丸山さん。
アートワークショップで行っている授業を実際に体験させてもらうと、新しい発見がありました!
次回は、丸山さんのユニークな発想のヒミツに迫ります。お楽しみに♪
(第4回につづく)
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Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
Writer | 岩本 恵美