ニュース
2021.7.28
彫刻や絵画、写真など、5人のつくり手を紹介!
さまざまな思いで制作された作品たちに注目です
東京都美術館にて、企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」が開催中です。
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展示風景より
本展は、東勝吉、増山たづ子、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田、ズビニェク・セカル、ジョナス・メカスの5人を紹介する展覧会です。
この5人のつくり手たちは、「アーティスト」と呼ぶにはユニークな人生と制作の動機の持ち主です。ここでは、それぞれの作家について紹介していきます!
ジョナス・メカス
ジョナス・メカス(1922-2019)は、リトアニアの農家に生まれ、難民キャンプを転々とした後、ニューヨークに亡命した作家です。
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展示風景より
貧困と孤独のなか、中古の16ミリカメラで身の回りの撮影を始めたメカス。プライベートな日常を日記のようにつづった映画「日記映画」を数多く残しました。
本展では、メカスの日記映画からのプリント作品が展示されています。
増山たづ子
増山たづ子(1917-2006)は、生前「カメラばあちゃん」の愛称で親しまれていました。
故郷の岐阜県旧徳山村とそこに暮らす村民を記録するために、還暦を過ぎてから写真の撮影に挑戦し、10万カットにものぼる撮影を行いました。
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展示風景より
徳山村は増山の没後、ダムの建設によって地図上から姿を消しました。
どこかノスタルジックな作品を、ぜひ会場で体感してみてください。
シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田
イタリアのサレルノに生まれた、シルヴィア・ミニオ=パルウエルロ・保田(1934-2000)。ローマで美術を学んだあと、国費留学した先のパリで、彫刻家を志す日本人の青年と出会い結婚しました。
保田は夫を支え、家事と育児に専念しながら、家族が寝静まった夜中に制作をするのが日課でした。
《シエナの聖カタリナ像とその生涯の浮彫り》(部分)1980-84年 愛知県松山市・聖カタリナ大学蔵
敬虔なクリスチャンであった彼女の作品には、自身の祈りが込められているようです。
ズビニェク・セカル
ズビニェク・セカル(1923-1998)は、チェコのプラハに生まれました。
反ナチス運動に関わり投獄され、強制収容所での体験を経て、アーティストになりました。
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展示風景より
60歳を過ぎてから制作が始められたこちらの箱状の作品は、不在の不条理さへの重い問いかけを表現しているかのようです。
口数の少ないセカルは、身内にも収容所の体験をほとんど語らなかったそう。いつ終わるかわからない死と隣り合わせの収容所での生活を、本作で体現化したのではないでしょうか。
考えさせられる作品です。
東勝吉
東勝吉(1908-2007)は、長年木こりを生業とした後、老人ホームで暮らしていました。
83歳から本格的に絵筆を握り、大分県湯布院の風景や人物画の制作に没頭。99歳で亡くなるまで、水彩画100点余りを描きました。
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」展示風景より
地図上から無くなってしまう故郷とそこに暮らす人びとを写真に収める人、ナチスによる収容所での生活を作品で体現化した人・・・。
5人のつくり手たちが、生きていくうえで大切にしていた「創作」について、本展を通して考えてみてはいかがでしょうか?
OBIKAKE gifts
本展の招待券を5組10名様にプレゼント!
〆切は2021年8月16日23:59まで!
★その他の展覧会レポートはコチラ
企画展「Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる」
2021.07.22~2021.10.09
開催終了
東京都美術館 ギャラリーA・B・C
Editor | 静居 絵里菜