展覧会レポート

没後20年
まるごと馬場のぼる展
描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!

2021.8.3

馬場のぼるの大回顧展

楽しい展示空間や豊富なグッズにも注目です!

 

練馬区立美術館で「没後20年 まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!」が開催中です。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

馬場のぼる(1927~2001)は、1950年代より漫画や絵本を手掛け、手塚治虫、福井英一とともに「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれるほどの人気を博した漫画家です。

代表作『11 ぴきのねこ』(こぐま社)は、絵本のみならずキャラクターグッズや人形劇などさまざまな媒体を通し、現在でも世代を超えて愛されています。

 

本展では、練馬区ゆかりの漫画家・馬場のぼるの絵本や漫画の仕事、交友関係などを8つの切り口で紹介します。

 

11ぴきのねこ

 

 第1部では、馬場のぼるの代名詞、「11ぴきのねこ」(こぐま社)シリーズ全6作品を、貴重な校正原稿で紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

初期のこぐま社の絵本の印刷には、リトグラフ(*)を応用した版画方式が用いられており、作者は1色ずつ色版を描き、印刷所が各色版を特色インクで摺り重ねていくことで絵本を制作していました。

(*)リトグラフ:平版画の手法の1つ。描画したものがそのまま版になり、印刷されるという特徴がある。本展では、『11ぴきのねことあほうどり』(1972年)を例に、この印刷方法の解説と、その前段階のラフスケッチや色指定の記録などを合わせ、絵本の制作過程を解説します。

 

展示作品には、絵本の文章も合わせて展示。これまで「11ぴきのねこ」を読んだことがない人も、全シリーズがまとめて読めてしまう絶好の機会ですね!

 

 

スケッチブック

 

第2部では馬場の残したスケッチブックを7つに分類して紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

馬場は生前、約100冊ほどのスケッチブックをアトリエに残しています。

そこには、50年間誰にも見せることのなかった、ルポの取材メモ、猫など動物のモチーフ、街を行き交う人々や風景がさまざまに描かれていました。

馬場の視線が残されたスケッチから、日々の試行錯誤のようすや制作背景へ迫ります。

 

ふるさと三戸

 

第3部では、馬場の故郷・青森県三戸町の風景画や、小学校時代の絵や作文、旧制中学時代のノートなどを紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

馬場は、青森県の三戸町に3人兄弟の末っ子として誕生しました。

小学生の頃から『幼年倶楽部』や『少年倶楽部』を愛読し、漫画家になりたいという夢を抱いていたといいます。

当時の友人によると、戦時の圧迫感が迫る教室でひょうきんな漫画を描いて過ごした馬場の周囲には、温かい空気が流れていたそうです。

 

 

漫画

第4部では、初期から晩年まで約50年の漫画の代表作を紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

馬場は、終戦後に流行した赤本漫画(*)を描いたことで漫画家の道を決意すると、21歳で上京。その年のうちに学年別学習誌で雑誌デビューを果たすと、少年誌の連載長編漫画「ポストくん」が一躍大ヒットを遂げます。

 

1960年頃からは『週刊漫画サンデー』や『週刊漫画TIMES』などの雑誌、新聞の連載漫画などで活躍し、大人向けの漫画家へと転向していきました。

(*)赤本漫画:名前の通り表紙が赤く、ペラペラとした体裁の少年向き漫画。昭和30年ころまで駄菓子屋やおもちゃ屋、露店などに置かれ子供に向けて販売されていた。

 

絵本

 

第5部では、『11ぴきのねこ』以外の12作の絵本を、馬場の人生に沿ったキーワードで紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

『きつね森の山男』こぐま社、1974年刊
印刷原稿 特色摺り校正用リトグラフ・紙 こぐま社蔵

 

馬場の絵本デビューは、1963年に刊行された『きつね森の山男』(岩崎書店、1974年にこぐま社より改訂新版)でした。
その後、こぐま社の佐藤英和氏が彼の漫画家としての「絵で語る」才能に注目し、絵本製作を精力的に行いました。

二人は国内外さまざまな絵本を読み込む中で、馬場ならではの製作指針を築いていきました。

 

立体・タブロー作品

 

第6部では、仕事以外の貴重な制作物を紹介します。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

展示風景

 

馬場は、仕事以外でも描くこと、作ることを楽しんでいました。馬場の代名詞である「ねこ」たちの様々な姿をキャンバスにアクリルで描いたり、焼き物が好きで自ら土を捏ねて鬼瓦を生み出したり、紙粘土のようなもので立体作品を制作したり・・・。

ストーリーから離れ、思い思いに動くおなじみのキャラクターたちの姿からは、観る側もわくわくとした気持ちがふくらんできますね!

 

遺作『ぶどう畑のアオさん』

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

『ぶどう畑のアオさん』こぐま社、2001年刊 原画 水彩、墨・紙 こぐま社蔵

 

第7部では、馬場の遺作となった『ぶどう畑のアオさん』を紹介します。

本書はアオさんという名の馬が主人公。1980年に婦人之友社から出版された後、こぐま社からの改版の依頼によって絵を全て描き直したものです。

多岐にわたる馬場の創作活動を、アオさんの姿と共に締めくくります。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

 

馬場のぼるがまるごと楽しめる本展。

ミュージアムショップの豊富なコラボグッズや、フォトスポットにも注目です!
詳しい内容は、公式ホームページをご確認ください。

 

OBIKAKE 展覧会レポート 馬場のぼる 練馬区立美術館

 

OBIKAKE gifts

本展の招待券を5組10名様にプレゼント!

〆切は2021年8月16日23:59まで!

応募フォーム ※終了しました

 

 

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展覧会名

没後20年 まるごと馬場のぼる展
描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!

会期

2021.07.25~2021.09.12 開催終了

会場

練馬区立美術館

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Editor|松栄 美海

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