Be-dan
2021.9.13
今月のBe-danは、NPO法人ARDA(アルダ)所属・田辺梨絵(たなべりえ)さんにインタビュー!
田辺さんは、数々の対話型鑑賞会でファシリテーターを務めています。
第2回では、対話型鑑賞会はどのようなことをするのかについてや、ファシリテーターの役割などを詳しくお聞きしました。
(第1回はコチラ)
田辺梨絵さん ※取材時は十分な距離をとってインタビューを行いました。
―田辺さんは働きながら対話型鑑賞について学ばれ、その後、さらにワークショップデザイナー講座も受講して今に至ります。
働きながら学び続けるってすごいことですよね!
しばらくは修行という感じでしたね。
社会人になってから鬱々としていた時期などもあったので、対話型鑑賞のファシリテーターを務めることはとてもハードルが高く、苦しいこともありました。
しかし今日まで続けることができたのは、不安よりも今後の人生がよくなっていく予感や、ワクワク感が勝っていたことが大きいと思います。
―田辺さんが手がける対話型鑑賞会は、具体的にはどのようなことをするのですか。
作品をじっくりみて、感じたことや考えたことを自由に話し合って聞き合う。とてもシンプルですがそれが基本です。
その中で「作品のどこからそう思ったの?」と、作品をみて感じたことや考えたことの根拠を作品の中に求めます。
知識ではなく、自分の目でみて感じたこと、考えたことを対話することによって作品への理解を深めていくことが対話型鑑賞の目的だからです。
こうすることで、参加者が作品をじっくりみるようになると同時に、自分と異なる意見があっても、そこに至るまでの思考プロセスを理解することで他者の考えを受け入れられるようになっていくのが特徴です。
もちろん参加者それぞれでバックグラウンドが異なりますから、作品をみて感じること、捉え方も違い、ワークショップで生まれる対話は毎回変わります。
そういった一期一会のライブ感こそが対話型鑑賞の醍醐味であり、私が大切にしたいポイントです!
対話型鑑賞 活動の様子
―ファシリテーターはどのような役割を務めるのですか。
ファシリテーターは、多種多様な意見の違いや似ているところ、それぞれの考えの論点や関係性を整理しながら参加者の対話を促していく役割です。
最終的に意見を集約して結論を出すというよりも、参加者がそれぞれの考えを言葉にして共有していくことで全体として深まりながら作品に近づいていき、一人ひとりの心の中で作品世界が立体的になることを目指しています。
―アート作品に対する自分の意見を言葉にするのは難しそうですが、慣れていなくても参加できるものなのでしょうか。
もちろん!誰でも気軽に参加してみてほしいです。
どんな人の中にも、感じていること・考えていることがある。これは対話型鑑賞を続けてきた中で得た確かな実感です。
ワークショップを始める前に、正解・不正解はないこと、知識は不要で作品を見て感じたことや考えたことをみんなで持ち寄っていけば作品に近づいていけるということを伝えています。
参加者の方が自分の言葉でコミュニケーションができるように、自由に発言できるような安心感を築くのも私の役割です。
参加者一人ひとりの声に耳を傾け、尊重しながら進めていく田辺さんの対話型鑑賞会。
第3回では田辺さんがこれまで開催してきた対話型鑑賞会で印象に残っていることをお聞きします♪
(第3回につづく)
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Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部所属。
Writer | 岩本 恵美