展覧会レポート
2021.8.27
知らなかった「かこ絵本」に出会える!?
やさしさと温かさが詰まった作品の世界
市川市文学ミュージアムで「かこさとし展―こどもはみらいにいきるひと―」が開催中です。
展示風景
かこさとし(1926~2018)(以下文中は加古)は、代表作「だるまちゃん」シリーズ(福音館書店)や『からすのパンやさん』(1973年 偕成社)などで知られる絵本作家です。
未来を担う子どもたちに、自分で見て考え、判断する力を伸ばしてほしいという願いを根源に、晩年を迎える92歳まで精力的に制作し、生涯で600冊以上の作品を残しました。
本展では、市川市文学ミュージアムのある千葉県の美しい里山を描いた『出発進行!里山トロッコ列車~小湊鐵道沿線の旅~』(2016年 偕成社)の原画13点を中心に、「だるまちゃんシリーズ」をはじめとした代表作品の複製原画・複製下絵を64点、絵本書籍を20点、ほか愛用品を展示し、絵本作家としての生涯を振り返ります。
みどころ①
『出発進行!里山トロッコ列車~小湊鐵道沿線の旅~』
展示風景
本作は、千葉県五井駅から養老渓谷を走る小湊鐵道(鉄道)の里山トロッコ列車が繰り広げるローカル線の旅を、さまざまな角度から加古目線で紹介する知識絵本です。
東京大学工学部を卒業した加古が描く、精密でありながらやわらかいフォルムのトロッコ列車は、今にも動き出しそう・・・。
展示風景
展示室一面に展示された原画の数々は、トロッコ列車でめぐる房総の旅を体感させてくれるような展示となっています。
里山の自然に共感した加古が90歳で創作に取り組んだ本作。やわらかな色彩で描かれた、四季折々の植物や動物たち、房総の歴史やエピソードがくわしく紹介されています。電車好きな子どもだけでなく、大人にも是非オススメしたい一冊です。
絵本コーナー
同展示室内の絵本コーナーでは、実際の絵本を手に取って見ることができます。あわせてご覧下さい。
みどころ②
絵本作家デビュー前の貴重な初期作品
展示風景
「わっしょいわっしょいのおどり」は、加古が20代に描いた貴重な初期作品です。この作品が絵本編集者の目にとまり、デビューするきっかけになりました。
やぐらを囲んで踊る人々や動物たちは、それぞれが躍動感豊かで本当に楽しそう!
現在の加古作品につながる画風が随所に見られる一作です。
みどころ③
かこの生涯を振り返る展示品
本展では、加古の人物像を紐解くパネルや年表、動画解説などの工夫がちりばめられています。
なかでも愛用品の展示内にある「こどものとも」には注目です!
愛用品 展示風景
「こどものとも」は福音館書店から1956年に創刊された、世界でも珍しい月刊絵本です。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』、『かわ』などの加古作品をはじめ、『ぐりとぐら』、『はじめてのおつかい』、『きんぎょがにげた』などのロングセラー絵本はここから生み出されました。
毎月1冊、季節や子どもの成長に合わせた、バラエティー豊かな絵本がたのしめる「こどものとも」は現在も変わらず出版中。親子での絵本選びに迷われている方は必見です!
みどころ③
どろぼうがっこうに入学!?
展示風景
『どろぼうがっこう』(偕成社)は1973年の発売以来、子供たちを喜ばせ続けている代表作のひとつです。本作は紙芝居から始まり、のちに絵本が制作されました。
どろぼう学校で「くまさか とらえもん」先生と生徒たちが織り成すドタバタ劇、予測がつかない展開へと進んでいく魅力的なお話です。
どろぼう学校という響きだけで、好奇心がくすぐられますよね!
展示室内には、くまさか とらえもん先生や仲間たちと一緒に撮影できるフォトスポットが!
愛嬌があふれる憎めないキャラクターたちとともに撮影してみてはいかがでしょうか?
このほか、本展初公開の複製原画『サン・サン・サンタひみつきち』にも注目です。
また、展示室内の絵本コーナーや館併設の図書館では、実際に絵本を読むことができます!
展示で加古作品を余すことなく堪能したあとは、改めて気になる絵本を手に取ってみませんか?
特設 販売ブース
お帰りの際には、この夏新発売の絵本・グッズもお見逃しなく!
なお、現在緊急事態宣言が発令されているため、展示内容や期間が変更される場合がございます。鑑賞の際は、公式ホームページをご確認ください。
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市川市文学ミュージアム企画展
「かこさとし展―こどもはみらいにいきるひと―」
2021.07.17~2021.09.20
開催終了
市川市文学ミュージアム 企画展示室
Editor|松栄 美海
【編集後記】
幼いころから加古さんの作品が大好きでしたが、まだまだ知らない絵本がありました!
今度は娘と一緒に見に行きたいです♪
それにしてもグッズがかわいかった・・・。