展覧会レポート

生誕120年 円谷英二展

2021.8.25

日本映画界が誇る”特撮の父”

円谷英二の生涯と作品をたどる展覧会

 

国立映画アーカイブにて「生誕120年 円谷英二展」が開催中です。

 

展示風景

 

円谷英二(つぶらや えいじ、1901-1970)は、「ゴジラ」や「ウルトラマン」などを生み出した、日本の映像界が誇り、現在でも世界中の人びとから愛される“特撮の父”です。

 

本展は円谷の生誕120年を記念し、福島県・須賀川市との共催により実現。

イギリスで新たに発掘された円谷撮影の初期作品『かぐや姫』(1935年)も含めて、若き日の功績に注目しながらその生涯を紹介します。

 

 

見どころ①

“特撮”を志すまでの若手時代

 

円谷のキャリアは、映画キャメラマンからスタートします。

*キャメラマン・・・動画を専門に撮影する人を指す。

 

画面の暗部を活かした円谷ならではの斬新な表現は、ときに俳優や会社との衝突を招くこともありました。

また、円谷は合成技術や撮影用クレーンの開発など撮影技術の開拓にも熱心に取り組みましたが、会社からの理解はなかなか得られませんでした。

 

展示風景

 

その後、会社を変えても苦難の時期はしばらく続きましたが、そんな状況のなか、アメリカ映画『キングコング』に衝撃を受けた円谷は、”特撮”という道を見出すのでした。

 

本展では円谷の”特撮の父”としての側面だけでなく、若き日の志や功績についても紹介します!

 

 

見どころ②

イギリスより里帰り!『かぐや姫』

 

本展のなかでも特に注目されている作品が、イギリスより里帰りした『かぐや姫』です。

本作は、原作である日本最古の物語とは違う結末となっており、ファンタジーよりもコメディ色が強くなった作品となっています。

 

展示風景

 

また、当時の円谷が持つ撮影技術が駆使された本作は、円谷が本格的にミニチュアワークをとり入れた初めての作品でもあります。

今回展示室で上映される『かぐや姫』は1936年に制作されたもの。英国映画協会にフィルムが残存していた海外向け短縮版で、里帰りは実に85年ぶりとなります!

 

円谷ののちの仕事を考えるうえでも興味深い作品である『かぐや姫』。

スモークを使用した雰囲気づくりやクレーン撮影、合成技術など、戦前の円谷が到達した映像技術に注目です!

 

 

見どころ③

円谷を語るうえで欠かせない”特撮”

 

円谷英二の生涯を、さまざまな資料から通覧できる本展ですが、もちろん誰もが知る“特撮”の部分も見逃せません!

 

円谷が本格的に特撮作品に取り組むようになったのは戦後のこと。

監督・本多猪四郎との協働により、「G作品」と呼ばれた企画はのちの『ゴジラ』になり、国内外で大注目を集めました。

 

展示風景

 

これにより、それまでの特撮の「リアルな撮影では実現困難なシーンを補うための技術」というイメージが取り払われ、特撮は新たな映画ジャンルを創造する原動力となっていきました。

円谷の怪獣映画やSF映画は、東宝撮影所の誇るジャンルになり、特撮映画は黄金期へ突入していきました。

 

展示風景

 

展示室には『ゴジラ』や『モスラ』など、誰もが知る映画作品のポスターがズラリと並びます。

円谷は、日本映画初の「特技監督」になりましたが、怪獣映画だけでなく、歴史映画やファンタジー映画などあらゆる方向性から特撮の可能性を模索しました。

*特技監督・・・特撮を専門に監督する役職のこと。

 

 

見どころ④

円谷プロから生まれた日本のスーパーヒーロー!

 

怪獣映画が軌道に乗ると、円谷が次に目をつけたのがテレビでした。これから先やってくるであろうテレビ時代に向けて、いち早く円谷プロを創設すると、『ウルトラマン』シリーズで一世を風靡、円谷プロのテレビ特撮路線を確固たるものとしました。

 

展示風景

 

また、入り口ロビーではウルトラマンがお出迎え。

展示室は撮影ができませんが、こちらは撮影可能となっています!

 

 

 

円谷英二の初期作品から代表作まであますことなく紹介する本展。

“日本の特撮の父”の創造の源はどこから来ていたのか、その生涯を通覧しながら感じ取ってみてはいかがでしょうか?

 

 

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〆切は2021年9月19日23:59まで!

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展覧会名

生誕120年
円谷英二展

会期

2021.08.17~2021.11.23 開催終了

会場

国立映画アーカイブ

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Editor  三輪 穂乃香

【編集後記】

ゴジラやウルトラマンがいない日本なんて・・・考えられないですよね!

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