Be-dan
2021.10.11
今月のBe-danは、黄金町エリアマネジメントセンターで広報を担当する神田美樹さんにインタビュー!
神田さんは、横浜市中区黄金町にある「黄金町エリアマネジメントセンター」で、地域内外の方に向けて「アートによるまちづくり」の取り組みを発信しています。
第2回では、神田さんのお仕事のほかに、現在開催中の黄金町バザール2021の見どころをお聞きしました!
神田美樹さん
―広報というと、神田さんは具体的にどのようなお仕事をしているのですか?
神田:一番割合を占めているのは、毎年開催している黄金町バザールの業務です。
黄金町バザールとは、黄金町を舞台に展開する国際アートフェスティバルで、私たちが1年の中で最も力を入れているイベントなのですが、私は、広報活動にともなうポスターや、チラシ、パンフレットの制作を中心に、ウェブサイトやSNSの運営を行っています。
他には、毎月地域の方や、行政、警察、企業の方々と一緒にまちづくりのため会議を開催し、事務局としてそれに伴う調整など。
展覧会のサインの施工や、大岡川にかかる橋への作品設置の為に船を出していただくなど、アートの活動においても地域の方にご協力いただきながらプロジェクトを進めています。
―町全体で、黄金町バザールや、アートの活動など一丸となっているのですね!
神田さんは、今のお仕事を始める前から、アートに関心があったのですか?
神田:はい、大学ではグラフィックデザインを専攻していましたが、芸術祭やアートの分野にも興味があって黄金町には学生時代に何度か来ていました。
就職活動を控えるなかで、アートと関わりながら生きていきたいと思ったときに、アーティストや、彼らを支えている周りの人がどのような仕事をし、生活しているのかを現場で見てみたかったからです。
黄金町エリアマネジメントセンターに勤めて色々な経験を積んで、とても充実しています。
黄金町バザール2021出展作家・志村茉那美さん
―とても素敵なお話ですね!
それでは、現在開催中の黄金町バザール2021の参加アーティスト・志村さんにお聞きします。黄金町バザール出展作家として応募した経緯や、作品のコンセプトを教えてください!
志村:もともと私は横浜出身で、通っていた大学院のキャンパスが元町・中華街にあったため、近くの黄金町にはよく来ていたのです。
横浜の歴史を改めてきちんと知りたかったのと、実は単なるハイカラなまちというだけではない、複雑な構造がある横浜のまちを舞台に作品を制作したいと以前から考えていました。
私の作品は、各地の史実や民話をベースに、現代の社会問題とからめて、現代の民話として生まれ変わったフィクションの物語を作っているのですが、今回出品している作品は、横浜市の不思議な民話を取り上げています。
―横浜市の不思議な民話、とは?
志村:横浜市に「踊り場」という地名があって、その地名の由来となるお話です。
ある醤油屋さんで手ぬぐいが消えたのですが、その犯人はお店の飼い猫でした。人間たちがその飼い猫を追いかけると、他の猫たちと盆踊りを踊っていたというお話です。
人間には盗人扱いされていた飼い猫も、近所の猫たちのあいだでは盆踊りを教える立派な師匠猫だったそう。このように、物事は角度によって見え方が変わりますよね。
一斉摘発前の黄金町にいた人たちともリンクしそうなので、踊り場の伝説と黄金町の歴史を融合させられないかと考えました。
―なるほど、とても興味深いです!黄金町バザールには、志村さんのような勢いのあるアーティストが他にもたくさん参加されているんですよね?
神田:黄金町バザール2021には、志村さんを含めたゲストアーティスト12人のほか、アーティスト・イン・レジデンスとして滞在している29人のアーティストが、まち中に作品を展示しています!
一人ひとりの作品はもちろん、小さく奥行きのある特殊な構造の建物で展開される展示空間にも注目してもらいたいです。
黄金町バザール会場エリア付近
黄金町バザールの会場となっているエリアの近くには、市民ギャラリーや劇場、カフェ、サップが体験できるスクールがあります。アート鑑賞と一緒に、まち歩きを楽しんでもらいたいです。
個人的には、休日にミニシアターの「シネマ・ジャック&ベティ」へ映画鑑賞へ行ったりしていますよ。
黄金町バザールは会期中11時~19時に開場。アートに関する古書を取り揃える「黄金町アートブックバザール」や黄金町にゆかりのある作家の作品を展示販売する「made in koganecho gallery」へも是非お立ち寄りください。
黄金町アートブックバザール
2008年の秋より毎年開催し、今年で14年目を迎える黄金町バザール。国内外のアーティストや近隣住民とともにつくりあげる、日常とアートの融和を体感してみてはいかがでしょうか?
現在開催中の黄金町バザールへ足を運んでみてくださいね!
第3回では、アーティストが町に滞在する、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)について詳しくお聞きします。
(第3回につづく)
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2021.10.01~2021.10.31
開催終了
京急線日ノ出町駅・⻩金町駅間の高架下スタジオ/周辺のスタジオ/地域商店/屋外空地ほか
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部所属。
Writer | ニシ
美術と日本文化に癒しを求めるライター。記事とシナリオの間で反復横跳びしながら、何らかの文章を日々生産している。