展覧会レポート
2019.8.28
芸術ジャンルにおける「文学」とは
日本の現代アーティスト6名によるグループ展 開催
国立新美術館で開催中の「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」の内覧会へ参加しました。
本展は「文学」をテーマにしていますが、展示室の中には書物が置かれているわけではありません。
6つの部屋には、写真や映像、インスタレーションなど、様々な展示作品があります。
時代や場所、登場人物を想像しながら、じっくり展示にふれてみてください。
OBIKAKE編集部のオススメアーティスト・作品をピックアップしてご紹介します。
小林エリカ
1978年東京都生まれ。目に見えないもの、時間や歴史、家族や記憶をモチーフとして作品を手がけています。
《わたしのトーチ》2019 Cプリント 作家蔵
47点組の写真《わたしのトーチ》(2019)は、聖火リレーのトーチを暗示しています。
原子爆弾の原料となるウランと、オリンピック聖火をめぐって起きた、戦時中のできごとを示唆していると言えるでしょう。
会場では、作家本人が書いた小冊子が配られています。
田村友一郎
1977年富山県生まれ。言語とイメージから派生する物語性が、近年の彼の作品の中で重要な役割を持っています。
《Sky Eyes》 2019 ミクストメディア 作家蔵
本作には、存在しないものを見たと認識してしまう「空目」と、「上方からの視点」というふたつの視覚に関わる要素が潜んでいます。
部屋の中にあるものをじっくり観察したり、上からのぞきこんだりすると、物語の始まりに起こった空目の正体がだんだん見えてきます。
北島敬三
1954年長野県生まれ。近年では、「UNTITLED RECORDS」シリーズを精力的に発表し続けています。
左/《飯舘村 福島県 2011.10.13》(「UNTITLED RECORDS」シリーズより)
2011/2019 顔料印刷 作家蔵
全国を訪れて撮影したこのシリーズには、廃墟やテントなどの仮設建築が写っており、そこに人の姿はありません。
しかし、そこに誰かの暮らしがそこにある(あった)ことを思い起こさせます。
それまであった風景が一瞬で失われることもある、風景の仮説性の概念そのものが根底に伺えるでしょう。
現代美術の中で、文学はしばしば書物という形態にしばられず、違ったかたちで表れています。
作家6人、幅広い年代ですが彼らの作品には何らかの形で文学の要素が色濃く反映されています。
物語の意味がよくわからなくても大丈夫。
作品をじっくり見て、誰かが語り聞かせる物語を感じ取ってみてください。
※写真はすべて「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」展 2019年 国立新美術館展示風景
information
会場名:国立新美術館 企画展示室1E
展覧会名:話しているのは誰? 現代美術に潜む文学
会期:2019.08.28〜2019.11.11
開館時間:10:00〜18:00(金・土は、8・9月は21:00まで、10・11月は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
休館日:毎週火曜日(ただし10月22日は開館、10月23日は休館)
料金:一般1,000円、大学生500円
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/073/
◎チケットプレゼント
2019年9月19日(月)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
Editor | 三輪 穂乃香
【編集後記】
新たな切り口での「文学」の見方。必見です!