展覧会レポート
2019.9.5
日本の近代美術の歴史において、独創的な絵画の道を歩んだ画家、岸田劉生(1891-1929)。大回顧展「没後90年記念 岸田劉生展」が、東京ステーションギャラリーで開催中です。
(左から)岸田劉生《麗子微笑像》1921年 上原美術館蔵 / 岸田劉生《麗子八歳洋装之図》1921年 個人蔵
岸田劉生は、明治24年(1891)東京・銀座に生まれました。
父は、明治の先覚者・岸田吟香。父の影響で、劉生は14歳の頃にキリスト教の信者になりました。しかし、まもなく父が他界。母も続けて亡くなり、恵まれていたの生活環境が一転します。
父の葬儀を行った田村直臣牧師によって洗礼を授かり、劉生は牧師を志します。この頃から大下藤次郎の画集「水彩画之栞」を手にし、独学で水彩画を制作するようになりました。田村牧師からも勧められ、画家の道に進みます。
本展では、岸田劉生の絵画の道において、ポイントとなる作品を選び、会期中150点以上の作品を紹介。基本的に制作年代順に展示することで、変転を繰り返した劉生の人生を明らかにするものです。
(左から)岸田劉生《黒き土の上に立てる女》1914年 似鳥美術館蔵 / 岸田劉生《F氏像》1914年 平塚市美術館蔵
《黒き土の上に立てる女》は、「創世記」アダムとイヴの主題を継承した構想画。劉生の妻・蓁(しげる)をモデルにして、生命力溢れた「大地とともに生きる女性」を描いた作品です。
岸田劉生《麗子肖像(麗子五歳之像)》1918年 東京国立近代美術館蔵
劉生の作品でもっとも有名な少女像は、愛娘・麗子です。劉生は麗子が生まれたとき「自分は嬉しかった。たまらなく可愛かった。」と喜びを日記に残しています。
本作品は、麗子をモデルに描かれた最初の油彩画です。麗子の手には、劉生が「美しいから好き」という秋草の犬蓼(いぬたで)が。画室の前の原っぱで咲いていたものを持たせたといいます。
(左から)岸田劉生《窓外早春》1922年 個人蔵 / 岸田劉生《鯰坊主》1922年 豊田市美術館蔵
《鯰坊主》は、劉生が観劇をしながら、スケッチしたものをもとに描いた油彩画による役者絵。モデルとなった七代目澤村宗十郎は、三代目坂東秀調とともに、劉生のひいきの役者でした。
東京展終了後、山口県と愛知県に巡回。どちらも劉生とゆかりの深い土地で開催されます。お見逃しなく。
information
会場名:東京ステーションギャラリー
展覧会名:没後90年記念 岸田劉生展
会期:2019.08.31〜2019.10.20
開館時間:10:00〜18:00、金曜日は〜20:00まで(最終入館は閉館の30分前まで)
料金:大人1,100円、高校・大学生900円、中学生以下無料
展覧会詳細ページ:https://obikake.com/exhibition/212_1/
◎チケットプレゼント
2019年9月23日(月・祝)23:59まで受付!
たくさんのご応募、お待ちしています。
応募フォーム
https://questant.jp/q/IEGENU99
Editor | 静居 絵里菜
【編集後記】
圧巻の岸田劉生展! この秋見逃せない展覧会の1つです。